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リフォームなどで新たに業務用エアコンの設置を考えている方もいらっしゃると思いますが、業務用エアコンと家庭用エアコンの違いをご存知でしょうか?

小規模な場合、家庭要エアコンでも問題ないかと思う場合もあるかもしれませんが、それぞれの特性を把握して検討する必要があります。分かりやすく家庭用と業務用の違う点は、耐久力とパワーです。

ここでは、業務用エアコンを馬力別とタイプ別に分けて解説していきます。

業務用エアコンのメリット

業務用エアコンが使われるシーンは、飲食店や理美容店、店舗やオフィスなどが挙げられます。

これに共通して言えることは、家庭でのエアコン利用と比較して、長時間の使用を前提としなければならない点にあります。

そのため、業務用エアコンには高い耐久性が求められることとなり、長時間の連続使用に耐えられる設計のものが多いと言えます。

また、広いスペースでの利用シーンが多いため、エアコンの持つ馬力が大きいことも特徴の一つです。馬力、つまり冷暖房のパワーが大きいということであり、すなわち機器自体が大型となる場合も多いですが、最近では以前に比べてスマートな小型化が進んでいるものもあります。

業務用エアコンは一見すると価格が高いので利用を避け、家庭用エアコンを畳数に合わせて複数台使用すれば良いと考える方がいます。

しかし実のところ、それでは効率的な空調が行えないため、結果的には業務用を使用した方がコスト削減につながる場合も多いのです。

【馬力の選び方】面積と熱負荷で選ぶ

では、どのようにして最適な業務用エアコンを選べばよいのでしょうか。

選び方として、まず必要な馬力を算出して、適切なものを選ぶ方法があります。

業務用エアコンの馬力は、一番小さいもので1.5馬力 (P40形)があり、最も大きいものでは10馬力 (P280形)があります。使用場所の面積と熱負荷(冷暖房負荷)を掛け合わせることで、適した馬力を割り出すことができますので、その結果に見合った馬力のエアコンを選ぶのがおススメです。

馬力の割り出し方について、一例を挙げてみます。

100平米の場所で熱負荷(冷暖房負荷)が155ワット毎平方メートルの場合、熱負荷は15.5kwになるので、5馬力 (P140形)のエアコンが適しているという結果を算出できます。

熱負荷(冷暖房負荷)とは?

熱負荷(冷暖房負荷)というのは、あまり聞きなじみのない言葉かもしれません。

熱負荷は、その室内で発生する熱源を数値化したものです。

つまり冷房で部屋を冷やそうとする場合、部屋の中に熱源が多かったり、強力な熱源があれば、当然部屋を冷やすことに対する抵抗力がそこに存在していることになります。

その抵抗力を熱負荷と呼びます。

レストランのようにコンロや大型冷蔵庫がある場所では熱負荷が高くなります。また、理美容室のようにドライヤーやパーマ用の機械なども大きな熱源を必要としますから、同じく熱負荷は高いです。

一般的な店舗と言っても、例えば宝飾店のように商品に対して強い照明を当てるような施設であれば、これもまた熱負荷が高くなってしまいます。

ほかにも、出入り口から外気が入り込みやすいかどうか、従業員やお客様の人数が多いかどうか、天井の高さなど建物の構造が特殊なものかどうかといったことでも熱負荷は変わってきます。

実際に業務用エアコンを設置する際には、業者の方に現地を視察してもらうようにしましょう。その場所の面積と熱負荷を計算して、最適な馬力のエアコンを教えてくれます。

独自の判断をしてしまい、熱負荷に対して馬力の小さなエアコンを選ぶと、結局効きの悪い状況となってしまいますので、注意が必要です。

5馬力と10馬力との違い

たとえば前の店舗から居抜きのような形で、多少のリフォームを加えて使用するというケースがあります。

業態を変えて営業するという場合もあり得ます。しかし前述の通り、熱源があるかどうかで必要な馬力は異なってきますので、同じ広さの場所だからと言って、同じエアコンが適切とは限りません。

例として、5馬力の業務用エアコンと10馬力のものとで、それぞれ最適なケースを比較してみます。

まずオフィスや病院、そして教室などの場合です。

5馬力に適した部屋の広さとしては最も広く74〜109平米、坪数にすると22〜33坪程度の目安で使用できます。その次に広いスペースで使用できるのが理容室や美容室で、43〜54平米、坪数にすると13〜16坪程度の広さに対応が可能です。

そして熱源が多い飲食店の場合だと、34〜54平米、坪数で言うと10〜16坪程度の広さでの使用が目安です。

同じパワーのエアコンでも、学校教室などでは飲食店の2倍ほどのスペースに対してエアコンを効かせることができるわけです。

では次に、10馬力に適した部屋の広さについて見ていきましょう。5馬力の場合と同じで、オフィスや教室などが最も効率が良く、目安として147〜217平米、坪数にすると45〜66坪程度に対して冷暖房が効きます。

その次が理美容室で86〜122平米ほど。坪数にすると26〜33 坪程度が目安です。最後が飲食店の場合で、目安は68〜109平米です。坪数にすると21〜33坪程度です。

【タイプで選ぶ】設置箇所での選び方

ここまでは、業務用エアコンを馬力別で選ぶ目安について説明してきました。次にお話したいのは、形状によるタイプの違いについてです。

業務用エアコンには主に3つのタイプがあります。

①吊型

吹き出しは1方向のものが多いですが、4方向タイプもあります。

またカセット型のように事前のサイズ確認が不要で、設置しやすいことがメリットです。

教室や店舗などでの使用が多く見られます。加えて、高さのある天井や奥行きのある空間でも使いやすく、空気が全体に行きわたるように工夫された気流が室内をめぐります。

②床置型

その名の通り、床にそのまま置くタイプなので、工事がしやすくコストを抑えられるというメリットがあります。しかも最近ではスリムな機種が増えていて、レイアウトやインテリアの邪魔になりにくいという利点が出てきました。しかしメーカーによってサイズは異なりますので、空間によっては適さない場合もあります。必ず、購入前に問い合わせをしたり、業者による現地チェックをしてもらいましょう。

③壁掛型

家庭用として多く使われているタイプもこちらです。

とは言え、家庭用と比べて風量はもちろん多く、業務用としての機能をきっちり持っていますので、ご安心ください。

こちらは馬力によって大きさが違ってきます。壁掛タイプは工事費用が抑えられ、狭い空間にも設置しやすいというメリットもあります。その他にも天井に埋め込むタイプやビルトインタイプなどがあります。

空調機能は高いですが、天井に穴をあけたり、天井裏にも十分なスペースが必要になるなど、設置が大掛かりになってきます。

寒冷地向けと家庭用の違い

ここまでご説明した馬力別、タイプ別による違いだけでは対応しきれない特徴を持つ場所があります。それは、その設置場所となる店舗などが寒冷地である場合です。

寒冷地の場合には、エアコンだけでは暖房効果が弱いというケースが出てきてしまいます。実は、寒冷地でも十分に機能が発揮できるように寒冷地向けのエアコンというものがあり、暖房効果が通常のエアコンより高くなっています。

エアコンが部屋を暖める構造を分かりやすく説明すると、室外機が外気の熱を取り込み、その熱をさらに高温にして室内機から放出することで室温を暖めています。

すなわち、外気温が低いと奪える熱も低くなり、結果としてエアコンから出る空気の温度も低くなってしまい、室温を高くできなくなってしまいます。そのため、一般的なエアコンを寒冷地で使用すると暖房効果が弱くなってしまいます。

寒冷地向けエアコンは、熱交換器やコンプレッサーを改良して性能を向上させています。また、高温の吹き出しを重点的に床に向けて行うことで暖房効率を上げるといった工夫もされています。

メーカーによっても異なりますが、室外機に冷気の吹き込みや凍結防止の工夫をするなど、一般のエアコンとは違う仕様になっているのです。

寒冷地向けエアコンも、室内機については通常のエアコンとあまり差がありませんが、室外機については、同じ広さで使用する通常エアコンよりも、1~2ランク高い定格出力を持っています。

メリットを考え適切に選ぶ

業務用エアコンは耐久性と馬力が大きいことがメリットです。

広さや熱負荷などの環境によって、その場所に最適な馬力や必要な電気量が変わってくるため、それぞれの条件に合ったものを検討することが重要です。

しかし、さまざまな条件を組み合わせてベストアンサーを引き出すのは意外と難しいものです。業務用エアコンの導入を検討するならば、まずは問い合わせや見積もり依頼をしてみてください。

そうすれば適切なエアコンを選択することができ、無駄なコストをかける心配もなくなるので、スムーズなリフォーム計画を進行させることができるでしょう。

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