住宅用業務用問わず、「消火器を購入しよう」とお考えの方はどれだけいらっしゃるでしょうか。消火器はさりげなく「置いてあるもの」というイメージが強く、実際に購入した経験のある方、または購入する機会のある方は少ないのではないでしょうか。
今回は消火器購入の初心者さんのために、「消火器購入の際のポイントや注意点」をテーマにしてお話しをしていきたいと思います。一重に消火器といっても多種多様でサイズや用途も様々です。
まず、消火器はどこで販売されていてどこで購入できるのか。どんな種類があるのか。どのようにして選べばよいのか。また購入の際の注意点についてお話ししていきます。
これから消火器を購入しようとお考えの方、また今まで消火器に関心を持っていなかった方にもご理解いただき、正しく消火器を購入できるように、また少しでも関心を持っていただける様に詳しくお話ししていきます。
消火器を購入する際の注意点とは?
会社などの職場にはもちろんのこと、マンションやアパートなどの集合住宅にはあらかじめ設置されているところも多いと思います。
消火器は「ただ設置してあればいい」というものでもありません。場所や用途にあったものを選ぶ必要があります。
ネットで買うメリットとデメリット
メリット
消火器をネット検索するとほぼ必ずと言っていいほど、「amazon」等の通信販売サイトが多数出てきます。自身がどの様な場所で消火器を使用するのかを想定したうえで、どの消火器を購入するべきなのか、また価格はどれくらいなのか等の下調べをあらかじめしておくと良いでしょう。
インターネットでそのまま購入する場合はできるだけ多くのサイトを閲覧し、その中で用途のあったものを選ぶ必要があります。価格は比較的お得にはなりますが、表示価格に加えて消費税や送料が加算されることも考慮しましょう。
デメリット
ネット販売のデメリットは、購入する品物の実物を見ることができないところです。いざ品物が届いてみて自分がイメージしていたものと全く違うものだったという可能性も出てくると思います。購入前に販売メーカーや消防署等に直接問い合わせてみると良いでしょう。
ホームセンターで買う?
またホームセンターなどで購入する際には実物を見ることができます。しかしインターネットで見るよりも品数が少ない場合や価格もやや割高になる可能性もでてきます。
そして持ち帰りの手間も増えてきます。重い消火器をその場で持ち帰るのは大変なので、可能であれば販売店に発送してもらうかまたは自動車等で買い出しに行く必要も出てきます。
悪質な訪問販売に注意!
消火器の販売において、詐欺事件の事例も多数報告されていることもお伝えしなければなりません。支店などの出先が多い事業所やスーパーや学校をはじめ、一般住宅にも被害が及んでいます。
その手口は消防職員を装い、事業所や店舗においては消火器の点検と称して高額な請求書を提示してきます。一般住宅においては、言葉巧みに高額な消火器を販売しようとします。
そこで覚えておいていただきたいのは、消防署では一般家庭に消火器の販売などで訪問することはありません。また会社等においては必ず身分証の提示を求めましょう。
火災と消火器の種類
消火器を選ぶポイントとしては、まず「どんな場所・状況で使用するか」を考慮する必要があります。というのも、一般的な粉末式消火器では効果が薄い火災も存在するからです。
場所や状況に合った正しいものを効果的に使えるように、火災の種類に合わせて消火器を選ぶとよいでしょう。
火災の種類
建物や家などが燃える火災が起きるのには、必ずなにか原因があります。自然発火ということもありますが、自然発火にも必ず火災のもととなった原因があるのです。
火災の原因には大きく分けて、普通火災・油火災・電気火災の3つの火災があります。
普通火災
木や紙、ふとんや合成樹脂が発火してしまう火災の中でも最も多い火災のひとつです。
油火災
飲食店などに多いのが油火災になります。ガソリンや料理油、アルコールなどが原因で発生する火災のことを指します。
電気火災
工場など電気を多く使用する場所で、電気が漏電してしまうことが原因で発生する火災です。
消火器の種類
家庭用、業務用共に粉末式消火器が主流となっていますが、火災の種類によって粉末系消火器以外の消火器を使用した方が効果的な場合もあります。
粉末系消火器
もっともポピュラーな消火器のタイプになります。いわゆるABC消火器と呼ばれるもので、消火器をよく見るとABCのマークのステッカーや表記があるかと思います。
ABC消火器
A火災 紙、木材、繊維などの可燃物による普通火災を指します。
B火災 灯油などの燃料や油による火災を指します。
C火災 電気による火災を指します。漏電などによる火災も含まれます。
つまり「ABC」消火器というのは上記の火災すべてにおいて対応が可能であるということです。最近では業務用、住宅用共にこのABC対応型の粉末式消火器が主流となっています。
水系消火器
普通火災や油火災に適していますが電気火災には適していません。冷却効果を利用した消火器ですが油火災には燃えている油に炎が拡散されてしまうため適しません。電気火災においては放射時の形状を棒状にして行うと感電の危険性があるため適しませんが、霧状放射にした場合は適応できます。
ガス系消火器
ガス系消火器は電気火災には非常に効果的です。二酸化炭素タイプとハロゲン化物のものがありますが、二酸化炭素のものは充満すると窒息する危険性があるため、地下室などの密室での利用には適しません。
ハロゲン化物のものは混じり合うと自然発火するものや有毒ガスを発生させる物質もあるため、注意が必要となってきます。
消火器を廃棄するときはどうしたら?
ここまでは消火器の購入の仕方や選び方、活用場所についてのお話をしてきましたが、使い終わったあとの処分方法はどのようにすればよいのでしょう。
また消火器を使用しなくても、消火器そのものにも耐用年数があり使用期限を過ぎているものに関しては処分・交換が必要になります。
消火器を処分する場合は一般的な廃棄はできません。特に住宅用になると、その管理においても個人の責任となります。ここで正しい処分の方法を学びましょう。
消火器回収システム
中身の薬剤が使用期限切れや使用済みとなったものに関しては、場合によっては処分せずに中身の交換のみで済む場合もありますが、業務用の消火器は定期的な点検が義務付けられています。
消火器を処分するには加盟の消火器取扱い窓口会社による「消火器回収システム」を利用します。
リサイクルの流れ
リサイクルの流れとしては主に
①特定窓口に依頼する
②指定取扱場所へ持ち込む
③ゆうパックでの回収(※法人は利用不可)
の三種類の方法があります。いずれの方法で処分するにしてもリサイクル窓口へ連絡し「リサイクルシール」の購入が必要になります。尚、外国製消火器やエアゾール簡易型消火器は対象外となります。
回収された消火器はメーカー団体によりリサイクル処理施設に運ばれます。
回収された消火器はどうなる?
リサイクル施設に運ばれた廃消化器は、解体→薬品の抜き取り→バーコード読み取り→保管といった流れで処理されます。
処理される過程において、粉末薬剤、本体容器、蓋・投入管一式に分類されそれぞれの部位が90%以上の確率で還元されます。2016年のリサイクル消火器の再資源率は91.8%というデータが上がっています。特に容器の還元率は保存状態によってはほぼ100%還元することが可能です。
消火器は再利用によって何度も使用できるものと考えれば、その保管方法も考慮するようになるのではないでしょうか。
消火器の購入は各自意識を持って
実際に火事が起こって自身で使用してみる機会でもなければその重要性はわからないものです。また職場などで行う防災訓練においても、真剣に取り組む人は果たしてどれくらいいるでしょうか。
消火器を購入する際は、どんな火災が起こりうるかを考えることが大事です。主流なのは粉末式のABC消火器で、基本的にはどんな火災にも対応可能です。
ですが、火災の種類によってはABC消火器よりも水系消火器やガス系消火器の方が効果的な場合もあります。
消火器を使う機会がない日常を送れるのが一番ですが、いざというときの為に火災や消火器の基礎知識を身に着けておくことは大変重要なことと言えるでしょう。
消火器は設置してあるけれど使ったことがない、いつからあるんだろう、という方は製造年数を必ずチェックしておくようにしましょう。
消火器等の備品の整備も他人事ではありません。普段見慣れ過ぎて関心がない消火器にも意識を持って購入や設置を検討してみてはいかがでしょうか?