「消費電力が少なくて今までの何倍も長持ち」と、LED照明はこれからの照明として、今や家庭でもオフィスでも常識とも言える存在になって来ました。
その一方で、LED照明を使い始めるとき、ただ単に電球や蛍光灯をLEDタイプに付け替えれば良いのか、あるいは何か工事や特別な器具が必要なのか、どうも違いなどが良くわからないという声もよく聞かれます。
そこで、これからLED導入を考えている方が知りたいことを整理してみました。期待通りに安全に長く使い続けるためには、どういう準備や工事が必要なのでしょうか。
そのための費用はどれくらいかかるのか。使用しながら特に注意することはあるのか。従来の照明と同じように使用して良いのか。このあたりの疑問を、一緒に明らかにしていきましょう。
LED照明を導入する際に必要な工事とは?
家電量販店の売り場では、白熱電球と、電球型の蛍光灯、そしてLED照明、LED蛍光灯などが並んでいるのをよく見かけます。3種類あることを確認した後、次に見るのは価格です。
LEDランプは高いけれど、必ず横に「寿命は白熱電球の10倍!1年間で◯◯円、10年間で◯◯◯円のお得!」と大きく書かれています。
本当かな?と思うことから選ぶ部分もあるでしょうが、まず自宅での使用を検討するにあたり大切なことは、LED照明の取り付けには何らかの条件や準備が必要かどうか、ということでしょう。
小さい照明器具なら電球を付け替えるだけ
家庭用のスタンドライトやクリップ式のスポット照明などであれば、今までの電球をLED電球に付け替えるだけで何の問題なく使えます。口金の直径が、今のものと同じサイズのLED電球を購入すれば大丈夫です。
明るさは、LED電球の場合「ルーメン(lm)」という単位で書かれていますが、必ず「60ワット(w)相当」など電球に該当するワット数も書かれているので参考にしましょう。
売り場やLEDメーカーの公式サイトには、ルーメンとワットの対応表もあります。あとは、電球色、昼白色といった照明の色も、今までの照明と同じものを購入してください。
LED電球が使えない器具もある
普通のLED照明は、お風呂場や玄関灯のような密閉型の器具、断熱材を使った器具には適しません。これは、LED照明の電源部分の基盤が高熱になるためです。
コンデンサや配線が傷んで、照明が付かなくなる可能性があり非常に危険でもあります。それから、明るさを微調整できる調光機能がついた照明器具の場合でもLED照明を付けることができないものがあります。
小さい器具でも安易に電球だけを付け替えることがないように、十分に注意しましょう。
直管形には工事が必要
一般家庭でも事務所や店舗でも、天井の照明などに使われている直管形の蛍光ランプを直管形LEDランプに付け替える場合は、簡単な工事が必要になってきます。中には、直管形でも「工事不要」と書かれていて、そのまま付け替えるだけの製品もあります。
しかし、蛍光灯には必要でもLED照明には不要な安定器など、既存の器具が電力を消費してしまい、LED照明の最大の特長である「電力消費を少なくする」という性能が失われてしまうことがあります。
さらに、劣化が進むと最悪の場合は火災を引き起こすことにもなりかねません。必ず、信用できる業者を選んで適切な電気工事をしてもらうようにしましょう。
シーリングライトで工事が必要な場合
天井に密着しているシーリングライトと、和室などで天井から下がっているペンダントというタイプの照明でも、工事が必要な場合があります。
それは「引掛シーリング」という、天井にくっついているソケットのような器具がついていない場合です。そのときは「引掛けシーリング」を取り付ける工事が必要です。
LED照明を導入する前に確認しておくべきこととは?
2009年に市販されて以来、省電力、長寿命としてLED照明は一般的になってきました。当初は高かった価格も、かなり下がってきています。
家庭でもぜひ導入したいところですが、安易に交換して失敗することがないよう、知っておかなければならないことをいくつか確認していきましょう。
工事費用はいくらかかる?
家庭でLED照明に交換する場合の工事とは、蛍光灯に取り付けられていた安定器を取り外すバイパス工事です。直管蛍光灯のLED照明には、安定器が不要です。
安定器を付けたままにしておくと、安定器が電力を消費してしまうばかりか、危険な場合もあります。この取り外すバイパス工事は、1台につき10,000~20,000円程度と思っていれば大丈夫でしょう。
天井に、ソケット型の引掛けシーリングが付いていない場合、付けるための工事費用はおよそ4,000~6,000円です。その他のリフォーム費用は、信用できる電気屋さんに相談しましょう。
電球型LED照明を購入するとき気をつけたいこと
電球型のLED照明は、従来の白熱電球と同じところもありますが、異なるところもあります。それらをしっかりと把握した上で購入しましょう。
口金のサイズを確認しよう
電球の場合、口金のサイズは主に2種類です。26mmのものと、小型の17mmのものがあります。もっと小さいものもあります。豆電球、ナツメ球と呼ばれるものです。
これらのサイズは白熱電球と同じです。間違えないように事前に口金のサイズは確認しておきましょう。
重さに注意しよう
LED照明は重い、ということは、あまり知られておらず、気づきにくいことですから特に気をつけなければなりません。従来の白熱電球の重さは、26mm口金のもので約30g、17mm口金のものは約15gです。
一方、LED電球は、26mm口金は約70~180g、17mm口金でも約40gもあります。ですから、天井や壁に固定してあるタイプの照明器具に付けるのならいいのですが、デスクスタンドや、クリップ型ライトなどに使うときには注意が必要です。
軽い器具に重いLED電球を取り付けたときに、バランスを取ることができなくて倒れたり曲がったりしてしまうかも知れません。せっかく購入しても、使うことができなければ意味がありませんからバランスがとれる取り付けについてもきちんと考えておくようにしましょう。
特別な機能がある照明には、専用のものを
特別な機能を持つ照明器具をLED照明に取り換えるときは、特に注意が必要です。その多くはまずそのままでは使えないと思っていてください。
調光器
調光器、つまり光を強くしたり弱くしたり微調整することができる照明の場合は、普通のLED照明をそのまま使うことはできません。「調光器対応」と記載があるものを選びましょう。
密閉型
お風呂場の照明や玄関灯などの照明器具を密閉する形でカバーがついている照明器具の場合も、電源部分に熱がこもりやすく、壊れてしまう可能性があります。
放熱の方法を工夫してLEDが過熱しないようになっていて、密閉型器具に対応させたLED照明が販売されています。密閉型器具の対応製品を選びましょう。
ダウンライト
玄関ホールや廊下の天井照明によくあるダウンライトも、そのままLED照明に付け替えることはできません。ダウンライトは天井の中に埋め込まれているので、断熱材で覆われています。ここに普通のLED照明を付けると、断熱材で熱がこもってしまいとても危険なのです。
種類は少ないですが、断熱材施工器具に対応するLED照明もありますので、前の電球を外したときに器具に「断熱材施工器具」であることを表すシールが貼られていたら、必ず専用のものを探してください。
光の広がり方
LED照明の光は、まっすぐに進みます。そのためかつてのLED照明は、スポットライトのように強くまっすぐに真下を照らすものが多かったのです。今では技術の発達により、光がまわりへ広がるようになりました。
部屋全体を照らすなら普通に光が広がるものを、照明にこだわりたい人で、光の筋を強調したいのなら、真下を強く照らすものを選ぶと良いでしょう。
気分転換であれば良いですが、従来の照明器具で照らしていたときとは空間の雰囲気があまりにも変わってしまうと毎日落ち着かなくなりますから、光の広がり方も考えて付け替えましょう。
照明が作り出す「色」
「平均演色評価数」という数値があります。照明に照らされたものが、太陽光の下のように自然な色で見えるかどうかを表す基準になります。
数値が高いと自然な色に近い、ということになります。製品が出始めのLED照明は、この数値が低いものが多く、照らされたものはだいたい実際よりも青白く見えてしまっていました。
今は、研究開発の成果があらわれて、自然な色も出せますし、もっと演出したさまざまな色が楽しめます。せっかく付け替えるのでしたら、照明を付けている場所と用途によって、自分のイメージに合った色と明るさを楽しみたいですね。
LED照明を導入しよう
これまでに見てきたように、いろいろと注意をしなければならない点はありますが、LED照明には電気代を抑えられるという最大の利点があります。
電気代を気にしないでさまざまな場面で使える照明器具としてもぜひLED照明を導入するべきです。さっそく自宅を見回して、家中の照明器具をLED照明に切り替えるとしたら、どこにどのような準備が必要かを検討してみましょう。
家庭も職場もLED照明の導入を検討しましょう
これからは、みなさんのご家庭でも、またオフィスや店舗や工場など職場でも、ほとんどがLED照明に替わっていくことでしょう。
多少面倒な準備や初期費用がかかっても、ランニングコストが大幅に削減できる、理論的には「切れない電球」という夢のような照明器具が、わずかここ10年で私たちの身近にすっかり定着したことになります。
どのようなものでも出始めは、企業側の研究不足や私たちの知識のなさのために、初期不良などのトラブルが起きがちです。実際にLED照明も、「10年もつと言いながらすぐに壊れてしまった」というクレームがかなりありました。それらを克服し、今のLED照明はひたむきに日々進歩しています。
今回見てきたように、LED照明の導入には工事が必要なこともあるため、必ず事前に信頼できる専門業者に見積もりを依頼したり相談したりしてください。これから長いあいだ、安全に電気代を安く抑えて、もっと他のことにお金をかけられるなら、何も言うことはありませんよね。