非常用発電機の費用見積なら

長年電機設備を扱ってきた安心・信頼の小川電機にお任せください!

30秒で入力!
無料見積りフォームへ

非常用発電機の性能を正しく維持するためには、定期的な負荷試験が不可欠です。中でも、「模擬負荷試験」は、停電を伴わずに安全かつ効率的に発電機の状態を確認できる重要な手法です。

今回は、模擬負荷試験の概要や、消防法をはじめとする法的要件、実施の流れについて詳しく解説します。非常時に確実に稼働するためのポイントを理解し、適切な試験の実施に役立ててください。

非常用発電機とは

非常用発電機とは

非常用発電機は、災害や停電時に建物の安全性を確保するために不可欠な設備です。特に、避難や消火活動に必要な電力を供給する役割を担い、法律に基づいた基準が定められています。

法律上の定義は、消防法と建築基準法の両方により規定されています。

消防法による定義

・定格負荷で60分以上連続運転できること
・燃料油は2時間以上の容量であること
・40秒以内に電圧確立できること

建築基準法による定義

・防災設備に30分以上の電力供給ができること
・30分以上の連続運転ができる容量を持つこと
・40秒以内に電圧確立ができること

このように、非常用発電機は法的な要件を満たしながら、緊急時の安全確保において重要な役割を果たします。適切な設備の選定と維持管理が、災害発生時の被害軽減につながります。

模擬負荷試験とは

模擬負荷試験とは

画像引用元:消防用設備等の点検基準等の改正概要(総務省消防庁)

模擬負荷試験は、非常用発電機の性能を適切に確認するための試験方法です。専用の模擬負荷装置を発電機に接続し、人工的に負荷をかけることで、発電機が非常時に正常に作動するかを検証します。

この試験を実施するには、模擬負荷装置を適切に設置できるスペースが必要です。例えば、模擬負荷装置が屋上や地階に設置されている場合、スペースの制約により機材を配置できず、試験の実施が難しくなるケースがあるため注意が必要です。

模擬負荷試験では、非常用発電機の定格出力の30%以上の負荷をかけて点検を行います。これにより、実際の非常時に安定した稼働が可能かどうかを確認し、発電機の信頼性を確保します。

非常用発電機の模擬負荷試験の必要性

乾式金属抵抗装置

水抵抗装置

画像引用元:消防用設備等の点検基準等の改正概要(総務省消防庁)

非常用発電機は、災害や停電などの緊急時にのみ使用される設備であり、通常は稼働する機会がほとんどありません。そのため、いざ非常時に作動させようとしても、長期間の未使用による劣化や不具合によって正常に動作しないリスクがあります。

このようなトラブルを未然に防ぐため、非常用発電機は消防法第17条の3の3に基づき、定期的な点検と消防機関への報告が義務付けられています。他の消防設備と同様に、適切なメンテナンスを行うことで、非常時に確実に稼働できる状態を維持することが求められます。そのための有効な手段の一つが模擬負荷試験です。

「模擬負荷試験」と「実負荷試験」の違いとは

非常用発電機の性能を確認する負荷試験には、「模擬負荷試験」と「実負荷試験」の2種類があります。それぞれの試験方法には特徴があり、適切な試験を選択することが重要です。ここでは、それぞれの試験の概要とメリット・デメリットについて解説します。

実負荷試験とは

実負荷試験とは

画像引用元:消防用設備等の点検基準等の改正概要(総務省消防庁)

実負荷試験は、非常用発電機を実際に稼働させ、建物内の設備や機器に直接電力を供給することで、その性能を確認する試験方法です。

通常、発電機単体の検証だけでなく、施設全体の防災設備や電力供給システムが適切に作動するかを確認できることが特徴です。ただし、試験中は電力の供給を切り替えるため、一時的に停電が発生する可能性があります。

「模擬負荷試験」と「実負荷試験」の違い

模擬負荷試験と実負荷試験には違いがあります。ここでは、主な違いについて解説します。

1.停電の有無

実負荷試験では、実際の電力供給を切り替えて試験を行うため、一時的な停電が発生します。

一方、模擬負荷試験では、模擬負荷装置を使用するため、施設の電力供給に影響を与えずに試験を実施できます。

2.負荷率の調整

発電機の性能試験では、一定の負荷率を維持することが重要です。

しかし、実負荷試験では施設の電力消費状況に依存するため、理想的な負荷率を確保できない場合があります。

一方、模擬負荷試験では、発電機に対して任意の負荷をかけられるため、安定した負荷率を維持しながら試験を実施できます。

3.必要な人員と試験の実施負担

実負荷試験は、発電機だけでなく施設全体の電力系統に影響を及ぼすため、複数の技術者や管理者が関与する必要があります。

これに対し、模擬負荷試験では模擬負荷装置を用いるため、比較的少人数で実施可能です。

 4.エンジンのメンテナンス効果

非常用発電機は日常的に稼働しないため、エンジン内部にカーボンが蓄積しやすく、長期間使用しないと性能が低下することがあります。

模擬負荷試験では高い負荷をかけることができるため、エンジン内部のカーボンを燃焼・除去し、正常な状態を維持する効果があります。

実負荷試験のメリット

これまで模擬負荷試験のメリットを解説しましたが、実負荷試験にも重要なメリットがあります。

非常用発電機は単独で動作するものではなく、防災設備や建物全体のシステムと連携して使用されます。そのため、実負荷試験を実施することで、発電機の動作確認だけでなく、施設全体の防災設備が適切に機能するかどうかを一度に確認できることがメリットです。

それぞれの試験には特長があり、目的や施設の状況に応じて適切な試験方法を選択することが重要です。

非常用発電機の負荷試験を6年周期に延長する方法

通常、非常用発電機の負荷試験は1年に1回の実施が義務付けられています。しかし、試験には高額なコストがかかるほか、停電を伴うため、企業や施設管理者にとって大きな負担となることが課題でした。

そこで、2018年の消防法の改正により、一定の条件を満たせば負荷試験の周期を6年に延長できるようになりました。これにより、試験回数を削減し、コストの軽減や業務負担の削減が可能になります。

消防法改正による主な変更点

この改正では、次の4つのポイントが変更されました。

変更点

概要

負荷試験の代わりに内部観察も可能になった

実験の結果、負荷試験を行わなくても、内部観察による点検で非常用発電機の不具合を確認できることが判明しました。また、エンジン内部に蓄積したカーボンも負荷試験と同様に除去できることが確認されたため、負荷試験の代替として内部観察が認められるようになりました。

負荷試験または内部観察の点検周期が6年に1回に延長された

事前に適切な保全策が実施されている場合、負荷試験を6年間実施しなくても、運転性能に支障をきたすようなカーボンの蓄積は見られないことが確認されました。そのため、負荷試験または内部観察の周期が6年に1回に延長されました。

原動機にガスタービンを用いる非常用発電機の負荷試験は不要になった

実験結果から、ガスタービン式の非常用発電機は、負荷試験を行わなくても無負荷運転で性能の確認が可能であることが判明しました。そのため、原動機にガスタービンを使用する非常用発電機については、負荷試験の実施が不要になりました。

換気性能点検は負荷試験時ではなく、無負荷試験時に実施するように変更された

従来は負荷試験時に行われていた換気性能点検について、温度変化の測定ではなく、無負荷試験時に自然換気口や機械換気装置の動作を確認する方法へ変更されました。

この消防法改正により、負荷試験の頻度が大幅に削減され、コストや業務負担の軽減が可能になりました。内部観察の導入や予防的な保全策を適切に実施することで、負荷試験の周期を6年に延長することができ、効率的なメンテナンスが実現できます。

また、ガスタービン式の非常用発電機は負荷試験が不要となり、換気性能点検の実施タイミングも変更されました。企業や施設管理者は、最新の規定に沿った保全策を講じることで、安全性を維持しつつ、試験の負担を最小限に抑えることが可能になります。

内部観察とは

内部観察とは、負荷試験に代わる点検方法として認められた検査手法で、以下のような点検を含みます。

  • 過給器コンプレッサ翼、タービン翼、排気管などの内部観察
  • 燃料噴射弁の動作確認
  • シリンダ摺動面の内部観察
  • 潤滑油の成分分析
  • 冷却水の成分分析

負荷試験の6年周期適用に必要な「予防的な保全策」

負荷試験を6年周期に延長するには、「予防的な保全策」が適切に実施されていることが前提となります。具体的には、次の主要部品の状態を毎年点検し、異常がないことを確認する必要があります。

点検項目

概要

点火栓

電極の異常摩耗や燃焼残さ物の付着がないかを確認

予熱栓

発熱部の断線、変形、絶縁不良の有無を確認

冷却水ヒータ

ケース外周の温度差や断線の有無を確認

潤滑油プライミングポンプ

正常に作動しているかを点検

なお、機種によってはこれらの部品が搭載されていない場合があり、その場合は点検の必要はありません。

また、エンジンや冷却システムの劣化を防ぎ、発電機の性能を維持するため、次の部品は定期的な交換が求められます。

  • 潤滑油
  • 冷却水
  • 燃料フィルター
  • 潤滑油フィルター
  • ファン駆動用Vベルト
  • 冷却水用等のゴムホース
  • 燃料、冷却水、潤滑油、給気、排気系統や外箱等に用いられるシール材
  • 始動用の蓄電池
負荷試験の6年周期適用に必要な「予防的な保全策」

画像引用元:予防的な保全策とは?(総務省消防庁)

以上の保全策が実施された後は、「予防的な保全策」が適用されたことを証明する報告書を消防設備会へ提出する必要があります。

非常用発電機の模擬負荷試験の流れ

非常用発電機の模擬負荷試験は、非常時に確実に稼働できることを保証するために実施されます。試験を適切に進めるには、事前準備から報告書の提出までの流れを理解し、計画的に進めることが重要です。ここでは、試験の具体的な手順を説明します。

  • 業者の選定と試験の調整
  • 見積もりの取得と契約の締結
  • 負荷試験の実施
  • 試験結果の報告と対応

非常用発電機の模擬負荷試験は、安全性と信頼性を確保するために欠かせない重要な点検です。試験の流れを事前に把握し、業者と綿密に連携することで、スムーズかつ効果的に試験を実施できます。適切な準備と計画を行い、確実な試験結果を得ることで、非常時に備えた万全な体制を整えましょう。

業者の選定と試験の調整

まず、模擬負荷試験を実施する信頼できる業者を選定することが重要です。過去の実績や技術力、対応力を確認し、適切な業者を選びます。

選定後は、試験の目的や要件を伝え、実施日時・試験方法・試験場所などを業者と調整します。この段階で試験条件を明確にし、スムーズな実施に向けた準備を整えます。

見積もりの取得と契約の締結

試験にかかる費用の見積もりを業者から取得し、模擬負荷装置の使用料や技術者の人件費などの内訳を確認します。試験項目や範囲を適切に調整し、無駄なコストを抑えながら、必要な試験を確実に実施できるようにします。

また、契約内容を十分に理解し、正式に依頼を行うことで、試験後のトラブルを防ぎます。

負荷試験の実施

試験当日は、業者が模擬負荷装置を非常用発電機に接続し、定格出力の30%以上の負荷を一定時間かけて試験します。この間、発電機の運転状況を監視し、出力電圧・周波数・電流の安定性を確認します。

また、試験データを記録し、負荷率や測定値を詳細に記録します。万が一、試験中に異常が発生した場合は、適切な対策を迅速に講じることが求められます。

試験結果の報告と対応

試験終了後、業者から報告書が提出されます。報告書には、試験結果や測定データ、運転状況、必要な改善点が記載されており、受け取った内容を精査することが重要です。不明点や不足事項がある場合は、業者に確認し、必要に応じて修正や追加情報を依頼します。

報告書の内容をもとに発電機の状態を正確に把握し、必要なメンテナンスを計画的に実施することで、設備の信頼性を維持できます。また、最終的に試験結果を管轄の消防署へ届け出る必要があるため、適切な手続きを行うことが重要です。

まとめ

非常用発電機は、非常時に確実に稼働することが求められるため、定期的な点検が消防法で義務付けられています。特に、1年に1回の総合点検時には負荷試験を実施する必要があり、その方法として「模擬負荷試験」と「実負荷試験」の2種類があります。

模擬負荷試験は、模擬負荷装置を使用して発電機の性能を確認する方法であり、停電を伴わずに試験を行える点や、必要な人員が少なくて済むことがメリットです。

また、消防法の改正により、一定の条件を満たせば負荷試験の実施頻度を6年に1回に延長できるようになりました。この条件として求められるのが、「予防的な保全策」の実施です。予防的な保全とは、発電機の部品が劣化していないかを定期的に確認し、適切なメンテナンスを行うことで、設備の安定稼働を維持するための対策を指します。

非常用発電機の信頼性を確保するためには、適切な点検方法を選択し、最新の法改正を踏まえた計画的なメンテナンスを行うことが重要です。

当社小川電機株式会社は、創業60年以上の実績を持ち、非常用発電機の点検・設置工事・修理を含むトータルサービスを提供しています。法令に基づいた負荷試験の実施をはじめ、万が一のトラブルにも迅速に対応できる体制を整えています。

「信頼できる業者に点検を任せたい」「非常用発電機の維持管理を安心して依頼したい」とお考えの方は、ぜひ小川電機株式会社にご相談ください。長年の経験と確かな技術で、お客様の安全・安心を全力でサポートいたします。

非常用発電機
について
専門家にご相談頂けます

小川電機の非常用発電機専門家に、設置費用の見積もり・設置スケジュールなど、何でもご相談頂けます。

※電話受付:平日 8:30〜17:30
※前田宛にお電話頂けるとスムーズです

No ratings yet.

この記事を評価する

おすすめの記事