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非常用発電機の設置には、法令で定められた届出が必須です。届出を怠ると、法令違反となり罰則の対象になることもあります。そのため、どの法律が関係し、どの届出をどこに提出すべきかを正しく理解することが不可欠です。

今回は、非常用発電機の設置に必要な届出を法律ごとに整理し、提出先や注意点を詳しく解説します。特に、消防法、電気事業法、建築基準法などの規定を踏まえ、適切な手続きを進めるためのポイントをわかりやすく説明します。

非常用発電機の設置を検討している方や、適切な届出手続きを知りたい方にとって、実践的なガイドとなる内容です。確実に法令を遵守し、スムーズな導入を実現するために、ぜひ最後までお読みください。

非常用発電機の設置に必要な5種類の届出と関連法令

非常用発電機を設置する際は、関係法令に基づいた届出が必須です。適切な手続きを行わないと法令違反となり、罰則が科される可能性もあります。

ここでは、非常用発電機の設置時に求められる5種類の届出と、それに関連する法令について詳しく解説します。必要な届出は次のとおりです。

  • 消防法に関する届出
  • 電気事業法に関する届出
  • 建築基準法に関する届出
  • 火災予防条例に関する届出
  • 大気汚染防止法に関する届出

加えて、非常用発電機の設置環境によっては、「電気工事士法」「騒音規制法」「振動規制法」「労働安全衛生法令」など、その他の法令が適用される場合もあります。適切な手続きを確実に進めるために、関係法令を事前に確認し、必要な届出を把握しておきましょう。

消防法に関する届出

消防法では、非常用発電機を設置する際に次の届出が義務付けられています。

  • 工事整備対象設備等着工届
  • 消防用設備等設置届
  • 電気設備設置届
  • 危険物貯蔵所設置許可申請

届出を怠ると、設備の使用が認められないだけでなく、罰則の対象になる可能性があります。

工事整備対象設備等着工届

消防用設備の設置工事を始める前に、「工事整備対象設備等着工届」を提出する必要があります。工事着工の10日前までに、設備の種類や仕様などを記載して届け出ることが義務付けられています。

また、非常用発電機を設置する際は、関連設備の非常電源関係図書を添付する必要があります。届出書の副本を返却してもらいたい場合は、宛名を記入した返信用封筒(切手付き)を同封しましょう。

消防用設備等設置届

非常用発電機を含む消防用設備を新設・改修した場合、「消防用設備等設置届」を提出しなければなりません。設置義務がある設備を導入した場合だけでなく、既存設備の改修時にも届出が必要です。提出期限は、工事完了後4日以内と定められています。

電気設備設置届

非常用発電機の電気設備を新設・変更する際には、工事開始前に「電気設備設置届」を提出しなければなりません。この届出は、設備の安全性を確保するためのものであり、工事開始の3日前までに仕様書や平面図を添えて提出する義務があります。

危険物貯蔵所設置許可申請

非常用発電機の燃料を指定数量以上貯蔵または取り扱う場合、事前に「危険物貯蔵所設置許可申請」を提出し、許可を得る必要があります。届出先は、市町村長・都道府県知事・総務大臣のいずれかで、保管する燃料の区分によって異なります。

指定数量未満の場合は、「少量危険物設置届出」に該当するため、手続きが異なります。混同しないよう注意しましょう。

電気事業法に関する届出

電気事業法では、非常用発電機を設置する際に、次の届出が義務付けられています。

  • 保安規程届出書
  • 主任技術者選任届

工事の安全性確保と、保守・運用の適正管理を目的とした手続きです。「保安規程届出書」には、設備の保安基準や運用方法を記載し、提出が求められます。また、監督責任者として「主任技術者選任届」を提出し、適切な管理体制を整えなければなりません。

建築基準法に関する届出

建築基準法に基づき、次の届出が求められます。

建築確認申請

発電機を含む電気設備を建築物に設置する場合、建築主事または指定確認検査機関による審査を受ける必要があります。その際、「建築確認申請」に電気設備の関係図書を添付し、提出しなければなりません。

完了審査申請

工事が完了した後、設備の試験記録や検査記録の提出が求められることがあります。事前に必要書類を確認し、スムーズに申請できるよう準備しておきましょう。

火災予防条例に関する届出

火災予防条例では、次の届出が必要です。

発電設備設置届

非常用発電機を設置する場合、事前に所轄の消防署長に「発電設備設置届」を提出する義務があります。ただし、出力10kW未満の特定の気体燃料を使用する発電設備は届出が不要となるケースがあるため、事前に確認しましょう。

少量危険物設置届

消防法の「危険物貯蔵所設置基準」に満たない量(指定数量の5分の1以上、指定数量未満)の燃料を貯蔵・取り扱う場合、「少量危険物設置届」の提出が必要です。

大気汚染防止法に関する届出

大気汚染防止法に基づき、次の届出が求められます。

ばい煙発生施設の設置の届出

ばい煙を発生させる施設を設置する際、都道府県知事への届出が義務付けられています。該当する機種は、次の条件を満たす発電機です。

  • ディーゼル燃料の燃焼能力が重油換算で1時間あたり50L以上
  • ガソリン燃料の燃焼能力が重油換算で1時間あたり35L以上

この届出を提出した後、60日間は工事に着工できません。そのため、早めの対応が必要です。

その他の関連法令

非常用発電機の設置状況によっては、次の法令が適用される場合があります。

  • 電気工事士法
  • 騒音規制法
  • 振動規制法
  • 労働安全衛生法令

各自治体で規制内容が異なるため、事前に確認し、必要な届出をリストアップしておきましょう。

非常用発電機の設置前に押さえておくべき重要なポイント

非常用発電機の設置には、法律で定められた義務を遵守することが不可欠です。また、設置目的に適した機種を選ばなければ、十分な電力を供給できず、災害時に想定通りの運用ができないリスクがあります。

ここでは、設置前に必ず確認すべき「2つの法的義務」と「適切な機種選定のポイント」について詳しく解説します。

非常用発電機の設置に関する2つの義務

非常用発電機の設置には複数の法令や条例が関わってきます。これらの法令や条例を知らなければ、取り返しのつかないことに発展することがあるので注意してください。特に、非常用発電機に関する2つの義務は重要です。ここでは、非常用発電機を設置する際に必ず理解しておかなければいけない2つの義務を解説します。

設置義務

非常用発電機の設置には、複数の法令や条例が関係しており、義務を怠ると罰則が科される可能性があります。特に重要なのが、次の2つの義務です。

  • 消防法:延べ床面積1,000㎡以上の特定防火対象物
  • 建築基準法:高さ31m超の建築物および不特定多数の人が利用する特殊建築物

上記の条件に該当する場合、設置しないと法令違反となるため注意が必要です。

点検義務

非常用発電機は、「消防法」「建築基準法」「電気事業法」に基づき、定期的な点検が義務付けられています。点検を怠ると、設備の不具合による事故やトラブルの発生リスクが高まり、損害賠償責任が生じる可能性もあります。

法令遵守はもちろん、企業や施設の信頼を守るためにも、適切な点検を確実に実施しましょう。詳細な点検方法については、こちらの記事で解説しています。

非常用発電機を選ぶ際のポイント

非常用発電機には多様な機種があり、設置目的や環境に適した機種を選ばなければなりません。誤った選定をすると、必要な電力を確保できず、いざという時に機能しないリスクがあります。次のポイントを押さえ、適切な機種を選びましょう。

  • 設置目的の明確化
  • 燃料の選定

設置目的の明確化

非常用発電機の設置目的は、大きく「保安」「防災」「共用」の3つに分類されます。

目的

概要

ポイント

保安

エレベーター、冷凍設備、救命設備など、施設の機能維持に必要な設備の電力供給必要電力が大きいため、大容量の発電機が必要

防災

誘導灯、非常用照明、消火設備など、避難誘導や消火活動に必要な設備の電力供給

比較的消費電力が少ないが、適切な機種選定が重要

共用

保安・防災の両方を目的とする場合

最も大きな電力供給が必要になり、発電機の容量も最大規模が求められる

どの設備に電力を供給するのかを明確にし、それに適した発電機を選定しましょう。

燃料の選定

非常用発電機の燃料は、大きく「ディーゼル」と「LPガス」の2種類に分かれます。それぞれに特性があるため、設置環境や調達手段を考慮して選びましょう。

種類

特徴

ディーゼル発電機

選択肢が豊富(さまざまな容量やサイズの機種があり、施設の規模に応じて選びやすい)

燃料供給の安定性(備蓄燃料として確保しやすく、継続的な運用が可能)

騒音・振動が発生しやすいため、設置場所の工夫が必要

一部の古い機種では黒煙を排出する可能性がある

LPガス発電機

騒音・振動が少ないため、設置場所の選択肢が広がる

災害時に燃料供給を受けやすい(事前契約を結ぶことで安定供給が可能)

機種の選択肢が少ないため、要件に合う機種が限られる

燃料の選定によって、保管場所・保管方法・調達手段が異なるため、慎重に判断しましょう。

非常用発電機の安全な運用に不可欠なポイント

非常用発電機は、非常時に確実に稼働することが求められます。しかし、適切な運用管理ができていないと、いざという時に機能せず、被害を拡大させる可能性があります。

そのため、安全な運用のためには、必要な電力量の正確な把握と、信頼できる業者への依頼が不可欠です。ここでは、安全に運用するために押さえておくべき重要なポイントを解説します。

  • 必要な電力量を正しく把握する
  • 信頼できる業者を選定する

必要な電力量を正しく把握する

非常用発電機の運用で最も重要なのは、適切な電力量を確保することです。供給電力が不足すると、必要な設備が正常に稼働せず、安全性が損なわれます。

まずは、非常時に使用する設備や機器をリスト化し、それぞれの消費電力を算出しましょう。この際、単なる消費電力(運転時の電力)だけでなく、起動電力(機器が立ち上がる際に一時的に必要となる電力)も考慮する必要があります。特に、モーターを使用する設備(エレベーター、空調、給水ポンプなど)は、起動時に通常の3〜5倍の電力が必要になることがあります。

適切な電力計算を行うためには、専門家のアドバイスが不可欠です。誤った計算をすると、発電機の出力が足りず、設備が正常に動作しないリスクがあります。確実な運用のためにも、信頼できる専門業者に相談し、適切な電力設計を行いましょう。

信頼できる業者を選定する

非常用発電機の導入や運用は、専門的な知識が求められるため、信頼できる業者に依頼することが不可欠です。しかし、業者選びを誤ると、適切な機種が選定されなかったり、メンテナンス不足でいざという時に稼働しない可能性があります。

業者を選ぶ際には、次の3つのポイントを重視しましょう。

  • 豊富な実績があるか
  • 顧客のニーズに寄り添った提案をしてくれるか
  • メンテナンスやアフターサービスが充実しているか

豊富な実績があるか

多くの導入・保守実績がある業者は、設備の種類や環境に応じた最適な提案ができます。実績の少ない業者だと、非常時のトラブルに対応できないリスクが高まります。

顧客のニーズに寄り添った提案をしてくれるか

価格の安さだけを売りにする業者ではなく、施設の目的や使用環境に適した発電機を提案できるかを確認しましょう。実際にどのような発電機が必要なのか、詳細なヒアリングを行う業者を選ぶことが重要です。

メンテナンスやアフターサービスが充実しているか

非常用発電機は設置後の定期点検が不可欠です。故障時の迅速な対応や、長期的なメンテナンスを提供できる業者を選びましょう。

価格だけで業者を選ぶのではなく、実績・提案力・アフターサポートを総合的に判断することが重要です。適切な業者に依頼し、非常時でも確実に稼働する発電機を導入・運用しましょう。

専門業者に一括依頼するメリット

非常用発電機の導入・運用は、専門業者に一括して任せることで、管理の負担を大幅に軽減できます。発電機の設置から各種届出、点検・メンテナンスまで一貫して対応できる業者を選ぶことで、事務連絡やスケジュール調整の手間を削減し、効率的に運用できる環境を整えることが可能です。

また、一括依頼することでコスト面でもメリットが生まれる場合があります。たとえば、設置とメンテナンスを同じ業者に依頼することで、割引が適用されたり、アフターサポートが充実するケースも少なくありません。

逆に、複数の業者に分散して依頼すると、連絡の手間が増え、調整が煩雑になるリスクがあります。業務の効率化を図るためにも、非常用発電機の導入から運用まで一貫して対応できる信頼性の高い業者を選定しましょう。

まとめ

非常用発電機の設置には、複数の法令や条例が関わり、多くの届出が必要です。適切な手続きを行わなければ、法令違反となり、罰則の対象になる可能性もあるため、確実に対応することが求められます。

しかし、届出の種類が多く、手続きが複雑であるため、自社だけで対応するのは容易ではありません。手続きに不安がある場合は、届出代行を含め、設置から点検・修理まで一貫して対応できる専門業者に依頼するのが最適です。

専門業者に任せることで、届出の手間を省くだけでなく、事務作業やスケジュール調整の負担も軽減できます。また、一括依頼することで、メンテナンス費用の割引が適用されることもあり、長期的なコスト削減にもつながります。

小川電機株式会社は、創業60年以上の実績を持つ専門業者です。届出の代行はもちろん、設置後の点検、部品交換、修理までトータルサポートを提供し、安心・安全な環境の維持をサポートします。非常用発電機に関する疑問や不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

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