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キュービクルの設置には、少なくない費用がかかります。また、点検費用などのランニングコストもかかるため、後悔しないためにも設置前にはさまざまな情報を集めて理解しておかなければなりません。

その際、重要な情報となるのが「補助金」に関する情報です。企業活動において、補助金によるコスト削減の成功事例は少なくありません。

では、キュービクルにおいて活用できる補助金はあるのでしょうか?今回は、キュービクルの補助金について知っておくべき基礎知識を詳しく解説します。キュービクル設置において活用できる補助金について知りたい方は、ぜひご一読ください。

キュービクルの補助金

キュービクルに関する補助金はあるのでしょうか?現時点での答えは「ない」です。ただし、キュービクル内部にある変圧器には補助金があります。

ここまで読んだ方の中には、意味がわからないと感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは非常に重要な情報なので、しっかりと理解しておく必要があります。

なぜなら、変圧器の補助金を活用することでキュービクルのコストを抑えることができるからです。この点をしっかりと理解するためにも、まずはキュービクルと変圧器について理解を深めましょう。

キュービクルとは

キュービクルとは、高圧の電力を低圧に変換する電気設備のことです。

電力会社から送られてくる電気は約6,600ボルトと非常に高圧であるため、そのまま使用することができません。そのため、一般家庭や小規模事務所、小規模店舗で使用される電気は、電力会社が設置した変圧器によって低圧に変換されます。この方式を「低圧受電契約」と呼びます。原則として50kW未満向けの契約です。

一方、50kW以上の電力を消費する場合は「高圧受電契約」を結びます。高圧受電契約の場合は、送られてくる電気を低圧に変換する機器が設置されていないため、変圧しなければ電気を使用することができません。

そのため、高圧の電気を低圧に変換する電気設備であるキュービクルを設置する必要があるのです。キュービクルは、使用電力が多い企業や工場、大型施設が電気を安全に使用するために欠かせない設備です。

変圧器とは

キュービクルは、高圧の電力を低圧に変換する役割を持つ電気設備で、複数の部品で構成されています。その中でも特に重要な部品が「変圧器(トランス)」です。変圧器は、電力会社から供給される約6,600ボルトの高圧電力を、一般的な設備で使用可能な低圧に変換する機能を持っています。

変圧器とキュービクルの機能が似ていると感じる方もいるかもしれません。キュービクルは単なる変圧装置ではなく、受電設備としての総合的な役割を果たします。具体的には、電圧や電力の状態を計測し、電気の安全性や効率性を確保するための制御や監視機能も備えています。

特に、キュービクル内の変圧器はその中核を担う部品であり、「キュービクルの心臓」ともいえる重要な存在です。変圧器が高圧電力を効率的に低圧へ変換することで、施設全体で安全かつ安定的な電力供給が可能になります。

なお、低圧受電契約(50kW未満の電力消費)を結んでいる一般家庭などでは、変圧器が近隣の電柱に設置されているため、専用のキュービクル設備は不要です。

活用したい補助金制度

最初にもお伝えしたように、2024年時点ではキュービクルの補助金は存在しません(自治体や業界団体が提供する独自の助成制度がある場合があります)。ただし、変圧器については補助金があります。ここでは、キュービクル設置事業者が活用したい補助金制度について解説します。

省エネルギー設備への入替支援

最初に紹介するのは、経済産業省の「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」です。

この制度は、事業所の省エネ設備への入れ替えを促進する補助金制度で、補助金の上限額は1億円です。なお、補助金額は設備費に対して3分の1以内となります。対象が設備費となっているので撤去費用や工事費用は含まれません。

2024年の受け付けはすでに終了していますが、2回の申請受付期間がありました。

  • 一次公募:2024年3月27日(水)~2024年4月22日(月)
  • 二次公募:2024年5月27日(月)~ 2024年7月1日(月)

2024年の申請受付期間を見てもわかるように、受付期間は決して長くありません。そのため、申請を検討している場合は、早めに準備を整えておくことが大切です。

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(設備更新補助事業)

続いて紹介するのは、環境省の「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(設備更新補助事業)」です。

こちらは工場や事業場における脱炭素化取組の先導的な事例を創出することと、その知見を広く公表して横展開を図ることが目的とされています。また、中長期での温室効果ガス削減目標達成に貢献することも一つの目的とされている補助金制度です。

対象となるのは事業所全体に対する省エネ率の高い工事で、補助金の上限は5億円です。補助率は3分の1以内とされています。

重要視されるのは事業場全体から見た省エネ率で、複数設備の更新が必須です。また、脱炭素計画の策定も必要になるため、念入りな準備と計画が欠かせません。

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

最後に紹介するのは「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」です。

この補助金は廃棄物処理と脱炭素化によるマルチベネフィット達成推進のために用意されています。具体的には、PCB(人工的に作られた油状の化学物質)に汚染された変圧器を交換して効率を高めてCO2を削減することが目的です。

対象となるのは、低濃度PCBに汚染された変圧器の分析調査事業や、低濃度PCB汚染変圧器の交換事業です。なお、交換にあたってはリースによる導入も対象となっています。

補助率は分析調査費用が10分の1で、交換費用は3分の1です。補助金の上限は100万円(交換費用)と設定されています。

補助金を活用する際のポイント

補助金制度に関心のある方も多いと思いますが、活用する際にはいくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ここでは、補助金を有効に活用するための具体的な注意点について解説します。

たとえば、「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(設備更新補助事業)」では、事業所全体の省エネルギー率が審査基準の一つとなります。そのため、変圧器のみを更新対象とする申請では採択が難しくなることが多いのが現実です。

この場合、事業所全体の省エネ率を向上させるために、変圧器に加え、照明や空調など他の設備も同時に更新することが重要です。これにより、省エネ率が大幅に改善され、補助金採択の可能性が高まります。また、計画段階でこれら複数設備の更新を検討しておくことで、長期的なコスト削減が実現します。

一方、単独での変圧器更新を予定している場合は、「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の申請が適しています。ただし、この補助金も対象機器に高い性能基準が求められるため、最新の仕様や要件に関する正確な情報が必要です。

機器性能の要件について不明点がある場合は、専門業者への相談をおすすめします。専門業者は、補助金申請に必要な情報を熟知しており、要件を満たす機器やプランを具体的かつ効率的に提案してくれます。

また、業者選びでは実績が非常に重要です。豊富な実績を持つ業者は、過去の経験を基にした的確なアドバイスやサポートが期待できます。これは、申請プロセスをスムーズに進める上で大きな利点となります。後悔のない選択をするためにも、信頼できる業者と連携して進めてください。

補助金を活用する時の注意点

補助金を活用する際は、次の2点に注意してください。

  • 早めの計画
  • 交換時期に合わせる

どちらも補助金の活用には欠かせないポイントです。後悔しないためにも、理解を深め、事前に適切な対策を講じましょう。

早めの計画

活用すると大きなコストカットにつながる補助金ですが、採択されることは容易ではありません。なぜなら、数多くの企業がコストカットを目指して補助金に申請しているからです。

そこで大切になるのが、早めの計画です。「補助金の申請」と聞くと、多くの方は書類作成などの事務的な部分にばかり注目してしまいがちです。

しかし、本当に大切なのは、制度の目的に合わせた申請になっているのかです。制度の目的を理解したうえで、効果的なアプローチを取っていくことが重要です。だからこそ、時間に余裕を持たせることが大切です。

もちろん、時間と成果は必ずしも比例しませんが、納得できる計画と準備には十分な時間が必要です。

また、早くから計画を立てることで見直しの時間を持つことも可能です。見直しは、補助金獲得の可能性を高めるうえでも、非常に大切になります。後悔しないためにも、早めの計画を心がけてください。

交換時期に合わせる

変圧器には寿命があり、一般的には8年から15年程度とされています。これは機械である以上、仕方がありません。

もちろん、これは1つの目安です。必要なメンテナンスを怠っていれば、寿命が短くなる可能性が高くなります。反対に、必要なメンテナンスを実施していれば法定耐用年数を超えても使用できることは珍しくありません。

ただし、寿命を過ぎても使用可能な場合がありますが、安全性を確保するため、適切な時期での交換が必要です。なぜなら、変圧器には高圧の電力が常に流れているからです。

常に高圧の電力が流れている以上、事故やトラブルなどのリスクをゼロにすることはできません。だからこそ、寿命を意識してこまめに部品を交換する必要があります。

問題なく動いていても、安全性が確保されているわけではありません。リスクがある以上、備えが重要であり、寿命を意識して運用する必要があります。

目安となる寿命を意識しておくと、変圧器の交換時期の目安もわかります。交換時期がわかっていると、補助金活用とセットで計画することが可能です。変圧器の寿命に合わせて補助金を申請すると決めておくことも一つの準備といえます。

まとめ

キュービクルとそれに関連する補助金制度について解説しました。

2024年時点では、キュービクルそのものを対象とした補助金は存在しません。しかし、キュービクルの中核部品である変圧器の更新に関しては、活用可能な補助金が複数あります。これらの補助金を上手に活用することで、設置や更新にかかるコストを大幅に抑えることが可能です。

ただし、補助金の申請は容易ではありません。多くの企業が競って申請する中で、採択されるためには、補助金制度の目的や要件を十分に理解した上で計画的に準備を進めることが重要です。特に、複雑な手続きや専門的な要件をクリアするには、専門家のサポートが欠かせません。

そのため、実績のある専門業者への相談をおすすめします。キュービクルの専門業者は、補助金制度に関する深い知識と経験を持ち、的確なアドバイスを提供してくれるため、申請成功の可能性を大きく高めることができます。補助金を最大限に活用するためには、信頼できるパートナーの存在が不可欠です。

当社小川電機株式会社は創業60年以上の実績を持つ業者で、キュービクルの点検やメンテナンス、修理、交換まで幅広く対応しています。また、補助金に関する具体的な相談にも応じており、多くの成功事例があります。確かな技術力と豊富な経験を持つ専門業者に相談することで、キュービクルに関する悩みを解決できるでしょう。

キュービクルの導入や更新を検討されている方は、ぜひ専門業者と連携し、補助金制度を活用してコストを抑えながら、効率的かつ安全な電力供給環境を整えてください。

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