キュービクルは高圧の電気を扱っているため、事故やトラブルが起こる可能性をゼロにすることはできません。ただし、リスクを抑えるための方法は存在し、キュービクルの鍵もその一つです。
キュービクルの鍵を閉めておくことで、人や動物の侵入を防げるため感電事故のリスクを軽減できます。また、人の侵入を防げるため、キュービクル内の機器に触られたり、スイッチを操作されたりすることを防ぐことが可能です。
そんな大切な役割を果たすキュービクルの鍵ですが、安全に運用していくには理解しておかなければならないことがあります。今回は、キュービクルを安全に運用するために欠かせない鍵に関する基礎知識と注意点を解説します。
キュービクルの鍵が必要な2つの理由
基本的に、すべてのキュービクルには鍵が設置されています。その主な理由は次の2つです。
- 安全性を確保するため
- 法令を守るため
まずは、キュービクルの鍵が必要な理由について解説します。
安全性を確保するため
キュービクルを運用していくうえで、最も大切にしなければならないことは、安全性を確保することです。
キュービクルは高圧の電気を扱っており、事故やトラブルが発生すると二次被害に発展してしまう危険性があります。そのため、安全な環境づくりは欠かせません。
したがって、キュービクル内部への人や動物の侵入を防ぐ環境を整えることが重要です。キュービクル内部の高圧電流に感電すると命を落とす場合もあるため、人が入れないようにしておくことは大切な環境作りの一つです。
鍵を設置することで、外部の人間だけでなく、自社の関係者も容易にキュービクルの内部に入れない環境を作ることができます。
法令を守るため
キュービクルの鍵は、法令遵守という意味でも重要です。
経済産業省が定める「電気設備の技術基準の解釈」第42条には、「変電所は人が立ち寄らないようにするか、機器類を収めた箱を施錠する義務がある」と規定されています。この規定により、キュービクルの設置時には施錠が必須です。
キュービクルの扉は、「施錠が可能であること」と「開いた状態で固定できること」が「電気設備の技術基準の解釈」により義務付けられています。このため、どちらかに問題がある場合は速やかに修理や交換が必要です。
設置から長時間が経過したキュービクルの中には、鍵はあるが壊れてきちんと機能しない状態のまま放置されているというケースもあります。また、壊れてしまい扉が開いた状態で固定できないケースもあるかもしれません。
しかし、これは非常に危険な状態です。なぜなら、「鍵を設置すること」と「扉が開いた状態で固定できること」は、法令によって義務付けられているからです。そのため、この2つに問題がある場合は早急に対応しなければなりません。
企業には法令を遵守する責任があります。信用を失わないためにも、定期的に施錠や扉の固定状態をメンテナンスで確認することが重要です。
キュービクルに使用される鍵の種類
一口に「鍵」といっても、キュービクルの鍵には複数の種類があります。代表的な鍵の種類は次の3種類です。
- シリンダー型
- キーハンドル型
- 共通キー
ここでは、キュービクルに使用される鍵の種類について解説します。
シリンダー型
シリンダー型は、鍵穴に鍵を差し込んで開閉するタイプの鍵で、多くの方がイメージするタイプのものです。キュービクルでも多く採用されています。
なお、基本的に鍵穴は扉の持ち手部分にあります。なお、後述する「共通キー」も大きく分けるとシリンダー型に分類されます。
キーハンドル型
キーハンドル型は、扉のハンドル(取っ手)を差し込んで開閉するタイプの鍵です。特に、大型で重量のある扉に適しており、小型扉には不向きな場合があります。また、使用時には複数の扉を同時に開ける場合、それぞれの扉に専用のキーハンドルが必要となります。
取っ手を取り外すことができるため、ロック時は見た目がスッキリすることが特徴です。また、取っ手がないため、ぶつかったり引っかかったりしにくいことがメリットです。なお、キーハンドル型は、扉の大きさや重さによって複数の種類があります。
基本的に、扉の大きさや重さに比例してキーハンドルも大きくなります。シリンダー型と比べると、サイズが大きく重いため、携帯性は悪くなります。また、扉を開閉するときはキーハンドルを挿しておかなければならないため、複数の扉を同時に開閉するには複数のキーハンドルが必要です。
共通キー
キュービクルの鍵には、共通キーと呼ばれるものがあります。その名のとおり、共通キーは他のキュービクルでも使用できる鍵のことです。同じ敷地内のキュービクルだけでなく、異なる施設のキュービクルでも使用できます。
どこでも使用できる鍵と聞くと驚く方も多いかもしれませんが、1つの鍵で複数のキュービクルを開閉できるため、複数の施設を管理したり、トラブルが起こった際に迅速に対応したりできるため、電気設備業界では一般的です。
なお、最も多く使用されている共通キーはタキゲン製造株式会社のNO.0200で「タキゲンの200番」と呼ばれています。共通キーは複数のメーカーが作っていますが、最も普及しているのはタキゲン製造株式会社の「200番キー」です。その利便性から、「キュービクルの共通キー=タキゲンの200番」と表現されることもあります。
ただし、共通キーは汎用性が高い反面、セキュリティリスクが伴うため、施設の重要度に応じた適切な鍵の選定が必要です。
タキゲンの200番には、次のようなメリットとデメリットがあります。
- メリット:複数のキュービクルを1つの鍵で管理できる。ほとんどの電気工事会社がタキゲンの200番を保有しているため、故障やトラブルが発生しても迅速に対応してもらえる。
- デメリット:ほとんどの電気工事会社が持っているうえに、簡単に入手できるのでセキュリティに不安が残る。
キュービクルの鍵を扱う際の3つの注意点
キュービクルを安全に運用するうえで、鍵は欠かせない存在です。キュービクルの鍵を取り扱う際は、次の3つに注意しなければなりません。
- 交換
- 管理方法
- 紛失した場合の対応
交換
当然ながら、鍵は壊れていると本来の役割を果たすことができません。長年使用されているキュービクルの中には、鍵が壊れているのにも関わらず、そのまま使用し続けられている場合もあります。これでは安全性を確保できないだけでなく、法令を遵守することもできません。
このような状態にならないようにするには、不具合を発見した段階で鍵を交換する必要があります。大事のように感じる方もいるかもしれませんが、キュービクルの鍵交換はすぐ終わります。
なお、キュービクルの保守点検を請け負う業者の中には、修理や交換も手掛けている企業もあります。メンテナンスを依頼する業者を選ぶ際は、この点も考慮して選ぶと良いでしょう。
点検だけでなく修理や交換にも対応している業者を選ぶと、キュービクルに関することを一括して依頼することが可能です。月々のメンテナンス費用だけでなく、修理や交換に対応しているのか確認することをおすすめします。
管理方法
せっかく鍵を付けていても、管理体制が甘いと、その効果は十分に発揮されません。注意しておきたいのが、鍵の管理方法です。
鍵を管理するうえで欠かせないのが、管理者の存在です。誰が管理者なのか明確にすることにより、鍵の管理が容易になります。安全性を高めるためにもキュービクルを設置する段階で鍵の責任者を決めておきましょう。また、管理者を決めた後は、鍵の管理表を作成し、誰が何時に使用したのか、何時に鍵を戻してきたのか記入しておくと、紛失を防ぐこともできます。
しっかりと鍵を管理するためにも、責任者を選定して使用履歴を残すようにしましょう。
紛失した場合の対応
鍵を紛失した場合は、メンテナンスを依頼している業者に連絡してください。
中には、次回の月次メンテナンスまで待てば良いと考える方もいるかもしれません。しかし、キュービクルは高圧電力を扱うため、気付いた段階で早急に連絡するようにしてください。
キュービクルの鍵が共通キーである場合、業者によっては即日でスペアキーを用意してくれることも珍しくありません。また、スペアキーを用意して別の場所で保管しておいても良いでしょう。
人が管理している以上、どれだけ扱いに気をつけたとしても、紛失してしまう可能性をゼロにすることはできません。だからこそ、紛失した場合に備えて対応を考えておく必要があります。
まとめ
キュービクルの鍵に関する基礎知識、代表的な鍵の種類、安全な取り扱い方法、そして法令遵守の重要性について解説しました。
キュービクルの安全運用には鍵の適切な選定・管理が欠かせません。これにより、安全性を確保し、法令遵守を徹底することが可能です。
キュービクルの鍵には、「シリンダー型」「キーハンドル型」「共通キー」の3種類がありますが、圧倒的なシェアを誇っているのが「共通キー」の「タキゲンの200番」です。タキゲンの200番であれば、ほとんどの電気工事業者が所有しているといえるため、いざという時に迅速に対応してもらえるメリットがあります。また、鍵を紛失した場合でも新しい鍵をすぐに手に入れることもできます。
ただし、持っている人が多いため、セキュリティ面に不安を感じる方もいます。そのような場合は、業者に相談して適切な鍵を選択するようにしてください。
当社小川電機株式会社は創業60年以上の歴史を誇り、これまでに多くの実績を積み上げてきました。キュービクルの設置工事からメンテナンス、修理や部品交換までキュービクルに関するすべてのことに対応しています。
業者の中には、メンテナンスは行っているが、修理は対応していないというところもあります。このような状態になると管理が大変です。ひとまとめにすると、余計な手間を省くことができます。
業者選びでお悩みの方は、キュービクルに関するすべてに対応している小川電機株式会社にお気軽にご相談ください。
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