この記事では「なぜキュービクルを塗装するのか」「キュービクルの塗装の費用」などについて詳しく解説していきます。この記事を読むことで、キュービクルを塗装することの大事さや塗装には何の意味があるのか、その役割について理解できます。
キュービクルに塗装が必要な理由
キュービクルは、定期的なメンテナンスを行う必要があり、外箱の状態によっては塗装が必要になります。では、なぜキュービクルの外箱には塗装が必要なのでしょうか?
それは、塗装が剥がれたキュービクルは防錆機能が低下し、金属部分が劣化することにより小動物や虫の侵入、雨漏りなどが原因で短絡し、停電するリスクが高まる可能性が高くなることにあります。
このような状況をなくすために、キュービクルの塗装は重要な役割を担っています。キュービクルの塗装を軽視しメンテナンスを怠ることで、思いもよらない事態になることもあります。
キュービクルの塗装は、長期間にわたってキュービクルを守るために必要です。建築基準法第28条(建築物の維持保全)および消防法第9条の3(防火設備等の管理)に基づき、キュービクルの防錆や防火対策のメンテナンスは、建物の安全性確保において必要不可欠です。具体的には、これらの法令は建物の構造の安全性維持を目的としています。
紫外線や雨水を受け続け経年劣化などで塗装が剥がれるため
キュービクルのメンテナンス不足により、紫外線や雨水、経年劣化で塗装が剥がれます。塗装が剥がれると金属部分が露出し、腐食が進むと外箱に穴が開くリスクが高まります。
塗装が剥がれたところが錆などにより穴が開くため
先ほども解説したように、腐食が始まりキュービクルの外箱に穴が開くことで漏電のリスクが高まります。他にも、穴から小動物や虫などが侵入することにより、思いもよらないときに短絡事故を引き起こす危険性もあります。
穴が開くことにより水が浸入し短絡や感電の原因となるため
キュービクルの外箱に穴が開くことで、雨が降った際にキュービクル内に雨水が侵入することになります。キュービクル内部に雨水が浸水することで、内部にあるブレーカーなどが短絡し、ほかの設備にも影響を与える危険もあります。
雨天時は感電事故や短絡の危険性が高まりやすくなります。小さな綻びからでも水が侵入するため、手遅れになる前に定期的なメンテナンスを行うことが重要です
塗装の劣化が原因で起こりうるキュービクルの事故
塗装の劣化が原因で起こりうるキュービクルの事故はいくつかありますが、ここでは起こりやすい2つの事故を紹介します。
漏電事故
1つ目は、漏電事故です。漏電事故とは、電気が本来の回路外へ漏れてしまう現象で、感電など重大な事故の原因となります。
塗装の防錆機能が低下し金属部分が腐食すると、漏電事故のリスクが増大します。特に、塗装が剥がれると外箱に腐食が進み、金属基材が露出することで電気が外部に漏れやすくなります。
漏電が発生すると、設備の安全性が著しく損なわれ、設備停止の原因にもつながるリスクがあります。そのため、塗装の維持を通じて漏電のリスクを低減することが重要です。
波及事故
2つ目は、波及事故です。波及事故とは、一つの事業所のキュービクルでの故障や漏電が原因で、同じ配電線上に接続されている他の設備や施設にも停電や機能停止が波及する現象を指します。
このような事故が発生すると、事業所内のみならず周辺地域にも影響が及び、経済的な損失が発生する可能性が高くなります。塗装のメンテナンスをこまめに行うことで、波及事故のリスクを大幅に軽減することが可能です。
キュービクルの塗装の種類
キュービクル外箱の塗装は、主に「外部のみを塗装する場合」と、「内部と外部両方の塗装を行う場合」の2種類に分けられます。ここでは、それぞれの塗装方法について解説します。キュービクルの塗装の状態でどちらを採用するか判断することで、経費の削減につながります。
外部のみの塗装
外部のみの塗装とは、キュービクルの外箱の表面に対してのみ塗装を施し、内部の構造物や設備には手を加えない塗装方法を指します。主に、表面の防錆や美観の維持を目的として行われます。
キュービクルの外箱の外部を塗装する際の判断基準は、「キュービクルの点検時に、表面の腐食はあるが、内部まで進行していないこと」です。外部のみの塗装は、表面上のみの施行になるため、費用を抑えつつ、短期間で保守を完了させることができます。
ただし、内部にまで腐食が進んでいないものの、外部の塗装が完了した後に腐食が内部に進む可能性があることには注意が必要です。そのため、自己判断せずにプロに確認を依頼することをおすすめします。
外部と内部の塗装
外部と内部の塗装は、キュービクルの外箱の内外両方に塗装を施す方法です。これにより、防錆対策だけでなく、内部構造の保護や電気設備の耐久性の向上も図れます。
表面の腐食が内部まで進んでいる場合は、キュービクル外箱の外部と内部の塗装が必要です。設置環境(屋内・屋外)によって異なりますが、キュービクルの塗装の耐用年数は5〜15年とされています。定期的にメンテナンスを実施することで、事故の防止につながるでしょう。
外部と内部の両方を塗装する場合、外部のみを塗装するより費用が高くなりますが、外部と内部を別々に塗装するよりも総費用が抑えられることが多いです。また、外部と内部両方をまとめて塗装する場合、スケジュールを組みやすく、工程を決めやすいというメリットもあります。
キュービクルの塗装の流れ
キュービクルの塗装は、主に次の3つの工程に分けられます。
- キュービクルの錆を取る
- 錆止め塗装でキュービクルの下塗りを行う
- 高耐久塗料でキュービクルを塗装する
工程を守り、適切な施工を行うことで、塗装は本当の効果を発揮します。ここでは、各工程について解説します。
キュービクルの錆を取る
腐食の進行を阻止するために、現状の腐食部や錆の部分を取り除く工程です。
腐食部や錆を残したまま塗装してしまうと腐食が内部に侵入しやすくなり、キュービクルの寿命が短くなる原因になります。専用の器具や薬剤を用い、丁寧に錆を取り除くことが重要です。
錆止め塗装でキュービクルの下塗りを行う
塗装を行う際は、本塗りをする前に下塗りをすることが一般的です。下塗りの目的は、錆止めと、下地の状態を整え本塗りの定着率を向上することです。
錆止め塗装はキュービクルの塗装工程において重要な下塗り作業であり、錆止め塗料を下塗りすることで金属表面の酸化を防ぎ、長期間にわたりキュービクルを守ることが可能になります。
また、下塗りを行うことで、凹凸や面を綺麗に整えることができます。下地が綺麗に整うことで、本塗りの塗料の定着率を格段に高められるため、下塗りを行う必要があります。
高耐久塗料でキュービクルを塗装する
キュービクルは屋外設置が多く、紫外線や雨風にさらされることで長期的に腐食が進行します。腐食を防ぐために、キュービクルの塗装には、耐候性と防錆性能が高い高耐久塗料を使用することが推奨されています。
高耐久塗料は、紫外線や雨風にさらされる屋外設置のキュービクルを長期にわたって保護することができます。周囲の環境や地域の特性などに合った適切な塗料を選ぶことで、メンテナンスの頻度を減らし、トータルコストを抑えることが可能になるでしょう。
キュービクルの塗装にかかる費用相場
キュービクルを塗装するにあたっての明確な費用相場はありません。キュービクルの状態などによって費用は異なりますが、平均的には2,300円/㎡程度といわれています。加えて、内部も塗装するとなると3,200円/㎡程度になるでしょう。
先ほども解説したように、キュービクルの状態によって費用には差があります。古い塗装を新しく塗り直すだけの場合は比較的費用は安く抑えられますが、キュービクルの外枠の金属を削ってパテ埋めをするなどの補修も行う場合は高くなります。
ただし、単に費用が安いことを理由に安易に業者選びを行ってしまうと、後から費用が掛かるようなこともあるため、業者選びには注意が必要です。
キュービクルの再塗装業者を選ぶ際のポイント
キュービクルの塗装を依頼したいけれど、どの業者に依頼すれば良いのかわからないという方も多いでしょう。ここでは、塗装業者を選ぶ際のポイントを2つ解説します。
- 対応が丁寧であること
- 実績が豊富にあること
対応が丁寧であること
費用が安かったとしても、施工の品質が低いと、後になって大きな補修が必要になったり、最悪の場合は取り替えなければならなくなったりすることもあります。そういったことを防ぐためにも、丁寧な対応をしてくれる業者であることは重要なポイントです。
塗装はキュービクルの長期的な耐久性に影響します。そのため、細部に配慮し、施工の仕上がりにこだわる業者を選ぶことが重要です。
実績が豊富にあること
実績が豊富にある業者を選ぶことも重要です。実績が豊富な業者は、さまざまなキュービクルの施工に対応できると考えられるためです。
特に、施設の特殊な環境に応じた施工や適切な塗料選びが期待されます。塗装業者を選ぶ際は、実績を確認するようにしてください。
キュービクルの塗装に関するよくある質問
最後に、キュービクルの塗装に関するよくある質問と、その回答を紹介します。
塗装の耐用年数はどれくらい?
使用する塗料やメンテナンス頻度、設置場所の状況(屋内・屋外)によっても異なりますが、おおよそ5〜15年程度が目安です。設置環境や使用状況によっては早めの再塗装が必要となる場合もあります。
海が近くにある場合、塩害の被害に遭う可能性があります。その場合は、早めにメンテナンスを行った方が良いでしょう。
使用する塗料の種類はどういったもの?
キュービクルの外箱は、金属でできているため錆が出たり腐食したりします。屋外に設置する際は紫外線や雨風の影響を受けるため、主に防錆塗料や高耐候性塗料が使用されます。
防錆塗料は、金属部分の酸化防止と錆の発生抑制に用いられます。高耐候性塗料は、紫外線や雨水からの保護を目的とし、屋外設置されるキュービクルに適した長期保護効果が期待できる塗料です。使用環境に応じて適切な塗料選びが必要です。
まとめ
キュービクルの塗装について解説しました。
キュービクルの塗装には、重要な役割があります。こまめな点検を行い早急に対応することで、キュービクルを長く使用することができ、漏電事故や波及事故などリスクを低減することができます。
キュービクルの状態に応じた適切な塗装や補修には、業者の経験と実績が重要です。塗装業者を選ぶ際は、必ず実績を確認してください。
当社小川電機株式会社は創業60年以上の歴史を誇り、これまでに多くの実績を積み上げてきました。年間200基以上の販売実績があるため、状況に応じて柔軟に対応することが可能であり、適切な施工を提案することができます。
業者選びでお悩みの方は、お気軽に小川電機株式会社までお問い合わせください。
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