「キュービクルを設置する際は、フェンスが必要?」そういった疑問をお持ちでしょうか?今回は、キュービクルとフェンスの関係性、離隔距離やフェンスが必要な理由について解説します。
この記事を読むことで、キュービクル設置にあたってフェンスが必要なのか、なぜフェンスが必要なのか理解をすることができ、安全対策に関する知識を得ることができます。
キュービクルを設置するにはフェンスは必要?
結論からお伝えすると、必ずしもフェンスが必要ではありません。
フェンスの設置にはいくつかの規則があり、条件を満たす場合はフェンスを設置する必要はありません。周辺の状況や環境、設備などを踏まえ、さまざまな危険性を考慮して設置することが大切です。
場合によっては、義務付けられてはいないものの、フェンスの設置が推奨されていることもあります。フェンスを設置すれば、災害や事故を防ぎ、人々や設備を保護し、電力供給を円滑に進められます。
キュービクル設置する際のフェンスの必要性
屋上などにキュービクルを設置する場合、墜落防止および物の落下防止のためにフェンスを設置する必要があります。
日常的にキュービクルの作業を行う機会は多くありませんが、保守点検の際などにおいてはキュービクルの近くに行く機会があります。その際は、人の墜落や物の落下の危険と隣り合わせになるため、安全対策としてフェンスが必要です。
また、フェンスには接触防止の役割もあり、子供などが不用意にキュービクルに触れてケガをしたり、事故に遭ったりする危険を未然に防ぐことができます。
このような事前対策を行うことで、より安全にキュービクルを使用できるようになります。
フェンスとキュービクルの保有距離・離隔距離の関係性
キュービクル設置時に必要な保有距離は3mです。保有距離とは、災害時に周囲の建物や設備へ影響を防ぐための距離です。
この3mは、十分な作業スペースを確保することを目的として定められています。たとえば、屋上にキュービクルを設置している場合、キュービクルの周囲の保有距離を3m以上確保できない場合、フェンスの設置が必要になります。フェンスの高さは1.1m以上必要です。
その他にも、キュービクルを直接操作する必要がある場合は、1m以上の離隔距離が必要です。離隔距離とは、主に安全性の観点から設定される、複数の対象の間に取られるべき一定の距離のことです。操作はしないが、点検を行う可能性がある場合は0.6m以上、操作も点検も行わないが、換気口がある場合は0.2m以上の離隔距離が必要です。
なお、法令や条例などにより定められているわけではなく、あくまでも推奨されているだけではありますが、周辺に幼稚園や小学校などがある場合は、子どもがキュービクルに不用意に触れるのを防ぐため、フェンスの設置が推奨されています。この場合のフェンスの設置目的は、墜落防止ではなくキュービクルへの接触を防ぐことであるため、高さは1.8m以上にすると安全性を高めることができます。
キュービクル設置において離隔距離が必要な理由
キュービクルは高圧の電気を受電する設備であるため、電気や高熱などによりさまざまな災害を引き起こす可能性があります。キュービクルは高温にも耐えられるような構造になっていますが、電気設備から発生する火災などを未然に防ぐためにも、周辺の環境も安全に保つ必要があります。
設備周辺の環境や状況などによりキュービクルの外箱の劣化が進み安全を確保できないと、キュービクルの故障につながり、電力供給ができなくなったり、人的被害を引き起こしたりします。
そのため、キュービクルの離隔距離や保有距離に関しては、主に電気事業法や電気設備技術基準で規定されています。消防法や火災予防条例も、周辺環境に応じた安全対策として関わる場合があります。
このような規則を遵守することで、事故を最小限にとどめることが可能になります。
屋内キュービクルの離隔距離
屋内キュービクルの離隔距離は、点検を行う面から0.6m以上、操作を行う面から1.0m以上の安全上有効な距離の確保が必要です。この遠隔距離は、扉が開閉した状態でも作業ができる距離として定められています。
また、遮断器を操作するために、キュービクルの中では操作が必要な箇所の離隔距離は1.0m以上と定められています。遮断器がない、もしくは操作はしないが点検を行う場合は0.6m以上、溶接やネジ止めされている換気口がある面の離隔距離は0.2m以上と定められています。
こうした規則は消防法によって規定されている他、火災予防条例などによっても細かく規制されていることがあります。
このように、屋内キュービクルの離隔距離は、キュービクルの設置位置によって異なります。点検をする面、操作をする面、換気口がある面を基準として考えることにより、どのようなフェンスを設置すればよいか判断しやすくなります。
屋外キュービクルの離隔距離
屋外のキュービクル設置時には、建物との離隔距離は状況によって異なり、建物の素材や設置場所に応じて、火災予防条例などで定められることがあります。一般的な目安として3mが推奨されますが、例外も認められる場合があります。そのため、各自治体の条例に従って確認が必要です。
フェンスを設置することで得られるメリット
最後に、フェンスを設置することで得られるメリットについて解説します。フェンスの設置が義務でない場所でも、保守点検時の安全性の確保や電気による事故防止のためにフェンスの設置が有効になる場合があります。主なメリットは次の5点です。
- 目隠し効果
- 境界線の明確化
- 防犯効果
- 防風・防音効果
- 保守・点検時の安全対策
目隠し効果
フェンスを設置し、内部のキュービクルを隠すことで、いたずらや災害、事故につながる要因を減らすことができます。景観などにも配慮することができるため、地域によっては目隠し対策をすることで、人が立ち入るリスクを低減することができるでしょう。
境界線の明確化
フェンスを設置することで、境界線の明確化をすることができ、立ち入ってはならない場所と一目でわかるようになります。そのため、人が不用意に立ち入るのを防ぐことができます。
近くに学校や幼稚園などがある場合、子どもが遊ぶ際にキュービクルに近づく可能性が高いといえます。フェンスで境界線を明確にすることで、怪我や電気災害などを未然に防ぐことができます。
防犯効果
フェンスを設置すれば、盗難や設備の破損リスクを減らせます。
キュービクルには、電線が使用されますが、電線を盗難するなどの事件が発生しています。フェンスを設置し中に入りにくくすることで、電線の盗難を防止することが可能になります。
また、キュービクルの内部にはトランス(変圧器)やコンデンサ、ブレーカーなどの機器が多く組み込まれています。これらの電材には半導体が使用されており、半導体需要の急激な増加の影響で品薄状態が続いています。フェンスを設置することで、これらの電材の盗難対策となります。
防風・防音効果
フェンスを設置することには、暴風・防音効果があります。
キュービクルは、屋上に設置されることも少なくありません。屋上に設置する場合、地上よりも風が強いことが多いです。フェンスを設置することで防風対策を行うことができ、キュービクルの外箱の破損などを減らすことができるようになります。
また、キュービクルを設置する周辺は、一般住宅やマンションなどであることが少なくありません。キュービクルの外箱は金属でできているため、物がぶつかったり作業を行ったりする際は大きな音が出るため、近隣の住民の迷惑となることがあります。防音効果があるフェンスを設置することで、近隣の住民へ配慮できるようになります。
保守・点検時の安全対策
高所での作業時は、人の墜落や物の落下の危険があります。フェンスを設置することで、これらのリスクを大きく低減することができます。
「暴風・防音効果」のところでも解説したように、キュービクルの設置場所は屋上などの高所になることもあります。屋上に設置した場合、保守点検などを行う際に高所から人が墜落したり物が落下したりしてしまうリスクが生じます。フェンスを設置することで、人の墜落や物の落下のリスクを低減することが可能になります。
また、キュービクルでは高圧電気を扱うため、短絡事故や感電事故など電気による災害のリスクもあります。フェンスを設置することで、不用意にキュービクルに人が近づかなくなり、感電事故などを未然に防ぐことができるようになります。
まとめ
キュービクルを設置するにあたってフェンスが必要になるケースとその有用性について解説しました。フェンスの役割や規則などをしっかり理解し適切な対処をすることで、より安全に、より長くキュービクルを活用できるようになります。
キュービクルは長期使用する機器です。格安で施工を請け負っている業者も多くありますが、キュービクルは長期間使用することを目的としています。だからこそ、業者選びは慎重に行う必要があります。
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