キュービクルを設置するには、適切な基礎工事が重要になります。なぜなら、基礎工事は設置後の安全性や耐久性に大きな影響を与えるからです。また、基礎工事においては、事前の地盤調査も欠かせないので信頼できる業者に依頼することが大切になります。
キュービクルの基礎工事費用は業者によって違いがあるため、少しでも安い業者に依頼しようと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、いくら費用が安くても安全性や耐久性に問題があると意味がありません。
今回は、キュービクル設置に欠かせない基礎工事について解説していきます。本記事を読むと、基礎工事の重要性と基礎工事の種類、注意点がわかります。安全なキュービクル運用のためにも、ぜひご一読ください。
キュービクル設置における基礎の役割
キュービクルの設置と基礎工事は基本的にセットで考えておきましょう。なぜなら、キュービクル設置において基礎は大きな役割を果たすからです。まずは、キュービクル設置における基礎の役割について解説します。
- 振動と騒音を防ぐ
- 建物への影響を防ぐ
- 電線のルートを確保する
- 安全性を確保する
振動と騒音を防ぐ
基礎が果たす役割の一つが、振動と騒音を防ぐことです。実は、キュービクルを設置するときは、この点を理解しておかなければいけません。
キュービクルは箱型なので、騒音や振動が発生しないと考える方もいらっしゃいます。しかし、キュービクル内にある変圧器には大量の電流が流れているため、内部では磁器ひずみが発生して電源周波数と連動した振動が起きているのです。
そのため、建物と隣接する場合は、騒音や振動が建物に伝播する可能性が高くなります。この振動と騒音の伝播を防ぐ役割が基礎にあるのです。
キュービクルの基礎は、過ごしやすい環境を築くうえで大切な役割を果たしています。
建物への影響を防ぐ
キュービクルを設置するうえで欠かせないのが、安全性の確保です。
特に、キュービクルの固定は重要です。キュービクルを固定していないと、地震が発生した場合にキュービクルが倒れてしまう危険性があります。場合によっては、二次被害が発生する危険もあるため、ボルトでキュービクルをしっかり固定しておかなければいけません。ただし、建物の床面に直接ボルトを打ち込むと、建物の強度に影響を与えてしまうので注意が必要です。
基礎があると、建物と切り離されるため、ボルトを打ち込んでも建物の強度に影響を与えることはありません。そのため、安心して固定することができます。
中には、基礎の重さが建物の強度に影響を与えるのではないかと不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、基礎を設置するとキュービクルの荷重を分散させる効果もあるため、建物への影響は小さくなります。
建物への影響を防ぎ、安全性を確保することも基礎の大きな役割です。
電線のルートを確保する
キュービクルには、電線やケーブルを入れるためのルートが必要です。
基本的に、電線やケーブルはキュービクルの底面から入れるため、キュービクルと地面の間に空間が必要になります。この空間を作ることも基礎の大きな役割です。基礎を設置して、床や地面から浮かせることで、電線やケーブルを入れるルートを作ることができます。
ただし、電線やケーブルの入り口部分は定期的に点検しなければなりません。なぜなら、入り口部分がそのままになっていると虫やネズミが侵入してしまい、故障や事故に繋がる危険性があるからです。入口部分のネットが外れたり破れたりしていないか、定期的に点検しましょう。
安全性を確保する
キュービクルの安全性を確保するためには、固定する以外にも大切なことがあります。それが、水やホコリの侵入を防ぐことです。
電気設備にとって、水は非常に危険な存在になります。そのため、キュービクル内に水が浸入しないようにしなければなりません。この水の侵入を防ぐこともキュービクルの役割です。
基礎を設置すると、高さが確保できるため、底面から水が浸入しません。また、高さを確保しているため、地面付近に多く滞留するホコリの侵入防止にも役立ちます。
このように、電気設備にとって大敵となる水やホコリの侵入を防ぎ、安全性を高めることも基礎の大きな役割です。
基礎工事の種類
基礎と聞くと多くの方はコンクリート基礎をイメージすることでしょう。実際、基礎の主流はコンクリート基礎です。
しかし、コンクリート以外にも選択肢はあります。後悔しないためには、どのような選択肢があるのかを把握しておくことが大切です。ここでは、基礎工事の種類について解説します。
- コンクリート基礎
- 乾式基礎
コンクリート基礎
基礎の主流として知られているのがコンクリートです。現場で型枠を組み、コンクリートを流し込んで作るため、状況や広さに合わせることができます。また、施工費が安価な点も大きなメリットです。
ただし、コンクリートだけで基礎を作ると強度が足りないため、鉄筋を入れて補強しなければなりません。鉄筋を入れなければ費用を抑えることは可能ですが、キュービクルの基礎は長期間にわたり使用するため、安全性を高める必要があります。
充分な安全性を確保するためにも、業者と適切な強度について確認しておきましょう。公共工事の場合は13φ、もしくはD13の鉄筋を縦横300mmピッチで配筋することが標準とされています。
なお、コンクリート基礎には2つの形状が存在します。
- ゲタ基礎
- ベタ基礎
この2つの形状について解説します。
ゲタ基礎
ゲタ基礎は、下駄を逆さまにしたような形状の基礎のことで、縦に長い基礎を2つ並べて、その上にキュービクルを設置します。全面に基礎があるわけではないため、キュービクルの下に空間ができます。
そのため、底面から電線やケーブルを通しやすくなることがメリットです。また、施工面積が小さくなるため、費用を抑えられるメリットもあります。
ただし、電線やケーブルを通しやすくなる一方で、大きな隙間ができるため、ネズミなどが侵入しやすくなることがデメリットです。そのため、故障や事故を防ぐための対応は欠かせません。
ベタ基礎
多くの方がイメージされるコンクリート基礎の形がベタ基礎です。ベタ基礎は、全面が一体になっているので耐震性に優れています。その一方で、ゲタ基礎と比べるとコストがかかることがデメリットです。
なお、ベタ基礎は底面に空間ができないため、電線やケーブルは基本的に地面に埋設することになります。
乾式基礎
既存の建物に新しく基礎を設置する場合、建物躯体に影響を与える可能性があるため、後付けでコンクリート基礎を設置できないケースがあります。このような場合に採用されることが多いのが乾式基礎です。
乾式基礎は、工場で生産した基礎を現地で取り付ける方法です。乾式基礎には、鋼製で既製品のパーツを組み合わせて作る方法と、鋼を加工して特注の基礎を作る2つの方法があります。
既製品のパーツを組み合わせて作る場合は、形状が決まっているため、設置できる場所が限られます。一方で、比較的費用が安いことが特徴です。
特注品の場合は、自由度が高くなる代わりにコストが膨らみます。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、乾式基礎を採用する場合は双方を理解したうえで、どちらにするのかを決めましょう。
キュービクルの基礎工事の費用相場
キュービクルを設置するには基礎工事が欠かせません。その際に重要になるのが、基礎工事費用です。
キュービクルの基礎工事費用は、場所や条件によって大きく異なります。特に、地盤が弱い場所に設置する場合は追加工事が発生して費用が膨らむ可能性が高くなるため注意しなければなりません。
なお、一般的な相場は100万円ほどとされています。ただし、100万円という相場は目安に過ぎません。
そのため、いきなり基礎工事を依頼するのではなく、まずは見積もり取るようにしましょう。その際、複数社から見積もり取ると、状況に応じた相場がわかるようになります。
また、見積もりを依頼する場合は、ベタ基礎やゲタ基礎など複数のパターンを提示してもらうと選択肢の幅が広がるためおすすめです。
キュービクルの基礎工事の流れと期間
工事を実施する際、理解しておかなければならないのが工事の流れと期間です。特に、キュービクルは電気に大きく関わるため、期間は重要です。ここでは、基礎工事の流れと工事期間について解説していきます。
基礎工事の流れ
基礎工事は次のような工程で進められます。
- 砂利地業
- 捨てコンクリート打設
- 基礎本体の配筋工事
- 型枠設置とコンクリートの流し込み
1.砂利地業
砂利地業は、基礎を支えるために地盤を固める作業です。地突きや地固めと呼ばれることもあります。砂利や砕石を使用して地盤面を安定させ固めていく作業です。
2.捨てコンクリート打設
捨てコンクリート打設は、基礎を設置する地面を平らにするため行われます。捨てコンクリート打設は、地面を平らにするだけでなく、型枠の位置だしを簡単にしたり、配筋作業をしやすくしたりする役割もあります。
3.基礎本体の配筋工事
基礎の強度に大きく関わるのが配筋工事です。充分な強度を確保するために、鉄筋を配置します。なお、配筋工事の際には電線やケーブルを通す配管の立ち上げも実施します。
4.型枠設置とコンクリートの流し込み
基礎本体の配筋工事が終わると、型枠を設置してコンクリートを流し込みます。
なお、コンクリートが固まるまでには養生期間が必要になることは忘れないでください。養生期間は季節や天候によって変動するため、気になる場合は工事前に確認しておきましょう。
コンクリートが固まったら、型枠を外して基礎が完成します。
基礎工事の期間
キュービクルの基礎工事期間は、平均して3日から5日程度です。ただし、コンクリートが固まるまでの期間は、季節や天候によって異なります。そのため、3日から5日というのは一つの目安として覚えておいてください。
キュービクルの基礎工事における注意点
最後に、基礎工事における注意点を解説します。キュービクルの基礎工事を実施する際は、次の点に注意が必要です。
- 安全を確保するための基準を把握しておく
- 基礎のサイズを把握しておく
- 将来を見据えて設置場所を決める
基礎は、一度出来上がってしまうと簡単にやり直すことができません。そのため、上記のポイントを理解してから工事を実施しましょう。
安全を確保するための基準を把握しておく
キュービクルは、どこにでも設置できるわけではありません。火災予防条例によって、キュービクルは周りの建物と3m以上の距離を取らなければならないと決まっているからです。また、キュービクルには定期的な点検が必要となるため、ある程度の空間を確保しておくことも大切です。
これらの基準を無視すると、設置するキュービクルが限られてしまう可能性があります。安全を確保するための基準は必ず把握しておきましょう。
基礎のサイズを把握しておく
基礎の大きさは、設置するキュービクルの大きさに合わせることが基本です。一般的には、幅と奥行はキュービクルのサイズより200mm程度大きくします。高さは、固定に使用するアンカーの長さの2倍以上が必要とされています。この2点を覚えておきましょう。
基礎のサイズは、小さすぎると強度が足りなくなり、大きすぎるとメンテナンスの際に邪魔になってしまいます。そのため、適切なサイズで作ることが大切です。また、建物内に基礎を設置する場合は、建物構造から算出した床の耐荷重に合わせなければならないことも覚えておいてください。
将来を見据えて設置場所を決める
将来的に設備の拡張が見込まれる場合は、その点を考慮して設置場所を決めることも大切です。
設計段階から拡張する可能性を踏まえておくと、費用を抑えやすくなります。また、拡張を意識した設計を行うことで、拡張工事がスムーズに進めやすくなることもメリットです。
費用や工事期間にも影響を与えるため、設置場所は将来を見据えながら判断しましょう。
まとめ
キュービクルの基礎は、安全性を確保するだけでなく、故障や事故を防ぐうえでも重要な役割を果たします。だからこそ、適切な基礎工事を実施しなければなりません。
中には格安費用を売りにしている業者もあるため、その点に魅力を感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、キュービクルの基礎は長年使用することが前提となるので、費用だけで依頼する業者を選ぶのは避けた方が無難です。
長年使用するキュービクルの基礎だからこそ、業者選びは慎重に行わなければなりません。ここでポイントになるのが実績です。
当社小川電機株式会社は創業60年以上の歴史を誇り、これまでに多くの実績を積み上げています。キュービクルの基礎も多く手掛けているため、状況に合わせたご提案ができることも大きな強みです。業者選びで悩まれている方は、まずは小川電機株式会社にお気軽にご相談ください。
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