さまざまな業態の店舗に設置されている業務用エアコンは、故障すると店舗の運営に大きな影響を及ぼします。この記事では、業務用エアコンによくある故障の種類と、故障が疑われる時のセルフチェックの方法を紹介します。故障を防ぐために普段からこまめにチェックし、故障しても適切な対応を取りましょう。
業務用エアコンの3つの故障要因
業務用エアコンの主な故障要因は3つです。
①ホコリや汚れ
エアコンの音が異様に大きい、あるいは聞いたことのないおかしな音がする場合は故障している可能性が高いです。異音の主な原因はフィルターやファンの部分に溜まったホコリや汚れです。予防するためには、定期的な掃除が必要です。
また、ホコリや汚れがなくても、エアコンのどこかの部分が故障しているために異音が発生しているケースもあります。部品の異常を放置してしまうと、エアコンの深刻な故障に発展する可能性もあるため、耳慣れない異音がした時には早急にメーカーや業者に問い合わせるようにしましょう。
②熱交換器の故障もしくは長期使用
効きが少し悪いこともありますが、場合によってはまったく効かないこともあるため、接客業の場合はクレームにつながるおそれもあります。
購入から間もない場合は、熱交換器やフィルターの汚れが原因の場合もありますが、購入から長年経過している場合は、エアコンの寿命である可能性が高いです。買い替えも検討しましょう。
③カビ
異臭の原因はカビの発生などが考えられます。エアコンの風と共にカビの臭いが流れていると、店舗であればお客様の方までカビが伝わってしまいます。
お客様にアレルギーを持つ人がいた場合、トラブルにつながりかねません。早急な対応を行いましょう。また、カビの臭いは店舗、特に飲食店の衛生面を疑われる原因です。
お客様に悪い印象を持たれないよう、日頃からの注意をおすすめします。
設置箇所で判断する故障原因の推察
業務用エアコンの故障原因は、店舗の業態によってさまざまです。
美容室や理容院の場合は、ヘアスプレーやカラー剤、パーマ剤などの薬品の付着や、カットなどで出た毛髪が入り込むことによって、室内機に汚れが発生します。
室内機に付着した汚れは次第にドロドロとしたスライム状になり、熱交換器を汚します。この汚れは異臭や配管の詰まりを引き起こすため、すぐに対処する必要があります。
また、使用時間が長い場合も故障の原因になりやすいため、使用後は送風を10分ほど行い内部を乾燥させるか、定期的なクリーニングを行いましょう。
ペットショップの場合は、美容院や理容院の故障原因と似通っています。油分を含む犬や猫の抜け毛が入り込むことによってゼリー状の汚れとなり、異臭や配管の詰まりを引き起こします。
また、ペットショップは動物のため、夜間も冷暖房を付ける必要があります。そのため、エアコンの連続使用による故障も多くなります。予防のために、こまめにフィルターを交換することを心掛けましょう。
飲食店の場合は、調理による油や煙の付着、ネズミの侵入、調理中の熱が引き起こす温度上昇による故障が主なものです。油や煙、蒸気が内部に入り込むと、フィルターが油まみれになってしまいます。一度フィルターが油で汚れてしまうと洗浄では落ちにくくなってしまうため、こまめにフィルターを交換する必要があります。
また、飲食店には食べ物が豊富にあるため、ネズミやゴキブリが侵入するケースが多々あります。ネズミの糞は異臭の原因となるほか、ネズミがコードをかじりショートするケースもあるので、飲食関係だからという理由以外でも罠の設置などの対策を取る必要があります。
調理による熱はどうしても発生するものであるため、熱を逃がしやすい配置を考えるなど、取れる対策を取りましょう。
工場などの場合、油や粉塵、ホコリなどが入り込みやすい環境のため、フィルターが汚れて故障するケースが多いです。また、作業に使用する機器類から出る熱による温度上昇や、工場内を一定温度に保つための長時間の使用も、故障の原因となります。
対策は、やはりこまめなフィルターの交換です。製造業はエアコンの部品にも故障が起きやすいため、数年に一度クリーニングを行うのも良いでしょう。
修理を依頼するかの判断とは
業務用エアコンが故障した場合でも、セルフチェックによって解決できることがあります。電源が入らない場合、実は単純にリモコンの電池が切れていただけということもあります。
業務用エアコンのブレーカーは、通常の配電盤と別の場所に配置されていることもあります。修理業者を呼んだのに、エアコン内部には全く異常がなかったということがないよう、一度チェックしてみましょう。
効きが悪い場合、セルフチェックできる項目では、フィルターの汚れや冷媒ガスの漏れが考えられます。フィルターが汚れているなら、フィルターを交換することで解決することがあります。
また、冷媒ガスの漏れは配管のひび割れが原因であることが多いです。簡単な箇所であれば配管の交換も自分で行えますが、難しい箇所であれば修理業者に依頼しましょう。
冷媒ガスの漏れが原因であるかどうかは、室外機から出る風の温度で判断できます。風が熱ければ、冷媒ガスは漏れていません。
異臭の原因のほとんどは、タバコやホコリが引き起こすカビです。カビ予防には乾燥が最も効果的であるため、冷房運転後に30分ほど、送風運転を行うようにしましょう。カビが付いてしまった場合は、クリーニングによって一度きれいに取り除きましょう。異音はさまざまな種類があるため、故障でないケースも多々あります。例えば、「ポンポン」「ポコポコ」という音は、排水ホースに空気が逆流している音であることが多いです。
部屋を換気することで改善することもあるため、一度試してみてください。そのほか、エアコンの仕様で発生する音があるため、一度メーカーに問い合わせるのも手です。
室外機から出る音のうち、振動音は室外機の傾きが原因であることがあります。設置場所を変更して様子を見ましょう。また、ガラガラと音を立てる場合は、枯れ葉などを吸い込んでしまっている可能性があります。一度運転を停止してから取り除きましょう。
この際、ファンを壊さないよう注意してください。
異音や異臭についてセルフチェックしても原因が分からない場合は、素直に修理の依頼をした方が良いと言えます。自分で解決しようと何度も挑戦すると、取り返しがつかない故障につながる可能性もあります。
修理を依頼する場合の注意
修理を依頼する際には、いつから不具合が発生したか、どのような症状が出ているかをできる限り正確に伝えましょう。
何か作業をした後に故障した場合には、その状況を詳しく伝えることで、業者が原因を特定しやすく、見積もり金額も正確になります。
セルフチェックを行った場合には、どのようなチェックを行って、どのような結果だったかを伝えましょう。必要に応じてメモや写真を残しておくと、業者が求めている情報を提供しやすくなります。
また、エラーコードが出ていれば、修理を依頼する段階で伝えておきましょう。業者は修理のために必要な部品の用意がしやすくなりますし、場合によっては電話越しの指示によって比較的簡単に解決することもあります。
故障率を下げる普段のメンテナンスとは
業務用エアコンの故障は、店舗の運営に支障が出やすく、場合によってはクレームにつながりかねません。エアコンの故障原因の一つである長期間の運転は、お客様の多い時間帯や時期に集中しやすいため、長期間の運転が原因で故障した際には、多くのお客様に迷惑がかかることになってしまいます。
また、ペットショップなど特定の業種では、ペットの体調不良といった深刻な事態につながる可能性があるため、予防策を怠らないようにしましょう。
故障を予防するためには、日頃のメンテナンスが不可欠です。定期的な部品交換や、運転しない時間を設けるといった対策はもちろんですが、最も重要なのはクリーニングです。思わぬ不具合を見つけるきっかけになることもあるため、定期的に行いましょう。
設置箇所に応じたエアコン選びを
業務用エアコンの故障を防ぐためには、定期的なメンテナンスのほかに、エアコン選びも重要です。エアコンを選ぶ際には、馬力や形状、設置場所といった観点から、業務に合ったものを選びましょう。
迷った際にはプロに相談することも一つの方法です。プロの目から業態に最も適したエアコンを選んでもらい、故障を予防するために気を付けるべきことを聞いておけば、故障が起きる可能性を低くできます。
故障は予防するコストよりも、修理するコストの方が高くつくものです。予防策を万全に整えましょう。