キュービクルはたくさんの電気を使用する職場や家庭においては今や欠かせないアイテムです。小さな店舗や事務所においても、パソコンやプリンターサーバー等の電子機器があり、食品を取り扱う店舗であれば大型の冷蔵庫の使用などでキュービクルの設置は必要不可欠です。
しかしながらキュービクルを導入するにあたっては、やはりそれ相応の金額が発生します。電気をできるだけ安く有効に使用するためにキュービクルを導入したくても、初期費用が大きければなかなか手が出しづらくなってしまいます。
確かに購入してしまえば約15~20年の耐用年数があるため、その間は使用することは可能ですが、例えば仮設の店舗や事務所等長期間の使用でない場合や、移転等の予定がある場合の導入にあたってはリースでの導入が圧倒的にお得になってきます。
キュービクル導入の際はリースがお得?
画像引用元:株式会社 電建
レンタルとリースの違い
リース、レンタル共に「借り物」を意味する言葉ですが、この二つの言葉は同じ意味ではないことはみなさんはご存じだったでしょうか。リースとレンタル、一体何が違うのでしょうか。
その二つの言葉の意味の違いを比較して見ていきましょう。
リースについて
リースとは一般的に会社の利益等を上げるために業務上で必要なものを取得して利用するためのものです。
リース会社が認める適格物件が対象になり、クライアントが希望する機種や機器を選定することができますが、長期の利用が必須となってきます。物品管理はクライアントが行うこととなります。
リースの場合は利用期間を定めてその間は解約不可となり、全額回収の契約条件で賃貸借します。
レンタルについて
レンタルという言葉の方が一般的には馴染みが深いのではないでしょうか。日常品ではCDやDVDなど、ビジネスの場においてはレンタカー、パソコンOA機器などのレンタル品を利用することが多いでしょう。
レンタルというのは、レンタル会社が所有しているものを期間限定で賃貸する仕組みになっています。レンタルされるものは比較的汎用性の高いものが多く新品ではない場合もあります。
リースの場合と大きく異なる点は、利用期間が短いということと途中で解約することが可能であるということです。物品の管理も会社側が行います。
キュービクルにおけるリースとレンタルの用途
大まかにレンタルとリースの違いを比較してきましたが、ではキュービクルをレンタルで導入する場合とリースで導入する場合とではどの様な用途の違いがあるのでしょうか。その場合に適した導入方法を見ていきましょう。
リース契約の場合
リースの場合は長期間契約が必須になってくるため、あらかじめ長期間電力を使用することが確定している現場において契約する場合に適しています。
販売品と同様の性能検査を実施してから出荷され、契約期間中はメンテナンスや故障などのトラブル時にも迅速に対応してもらえるだけでなく、料金も割安になります。また契約の更新も可能です。
レンタル契約の場合
仮設店舗や建設現場または仮設電源など、短期間限定で使用する場合に適しています。最短で1か月程から契約することができ、中途解約も可能です。
レンタル品として使用されるキュービクルは再利用可能な中古品が多くリースの場合と比較すると料金は割高になり、もちろん契約終了後は返却が義務付けられます。
レンタルとリースの使い分け
こうしてレンタルとリースを比較してみると、大まかに見て「短期間使用ならレンタル、長期間ならリース」といった利用法が有効なことがわかります。
一重に「キュービクル導入」といっても購入することに限定せず、レンタルやリースといった方法もあるということです。その時の用途に合わせてレンタルとリースの有効な使い分け方を知っておくことも、よりお得に電気を利用する近道となることでしょう。
キュービクルをリースするメリットとは?
画像引用元:株式会社中馬工業
キュービクルを購入せずにリースで導入することで、一番嬉しいのはやはり初期費用を抑えられることではないでしょうか。
そして導入後は法定点検や交換時期の把握も考慮しなければなりませんが、リースではそういったサポートも充実しています。
ただしメリットばかりではありません。リースであればそれなりの不利な点ももちろんあります。
それではリースでキュービクルを導入した場合のメリットとデメリットを順番に見ていくことにしましょう。
初期費用以外での具体的なメリット
搬入、搬出の一括対応
キュービクルの搬入時に避けて通れないのが配線の手配です。電気の専門家でない限り、使用者で配線等の知識に長けた方は少ないのではないでしょうか。
リースで導入する場合では、搬入から設置、配線工事、試験、撤去工事まで一連の作業も対応に含まれています。
オーダーメイド設備
キュービクルをリースで設置するクライアントの用途も様々で、既製品では賄いきれない点も出てくるはずです。リース会社によってはクライアントの用途に合わせて本当に必要な設備を提供するオーダーメイド制を実施しているところが増えてきています。
その場に適した機器を選出して提供するサービスも充実しています。
固定資産税が不要
キュービクルを購入すると、当然ながら会社あるいは家庭の「所有物」になるので固定資産税が発生します。税金による出費は誰もが負担に感じることと思います。
リースの場合は所有物ではなくなるので固定資産税はかかりません。「維持する」ということは想像以上に大変であるという反面、リースであるがゆえにその大変さを回避できるのです。
リースのデメリット
ここまでは所有物ではないことの利点を中心にお話ししてきましたが、当然不利になる点が出てくることもお伝えしなければなりません。
まず自身の所有物であれば手放すことも自身の意志で決めることはできますが、リースの場合は中途解約ができません。
解約するとなると違約金が発生してしまいます。使用期間が明確に決まっているのであればリースではなくレンタル契約という選択肢もありますが、あえてリースを選ぶ場合、長期間での利用を想定していて解約は未定であることが大半なのではないでしょうか。
もう一つは長年に渡り利用し続けることによって、初期費用より総額が高くなる場合があるということです。
購入時の初期費用も、キュービクル無しで電気を使用し続ける場合よりも最終的にはお得になるように設定されていますが、リースでの利用を続けている限り、料金は支払い続けなければなりません。
そうなると当然購入した方が断然お得になってくることは間違いありません。最後に、リースである限りお金を支払い続けても最終的には所有権がないということです。
一度所有してしまえば、あとは自由に使用することができますが、リースの場合その権利がありません。
つまり、必ずしも購入するよりもリースの方がお得であるという訳ではないということです。なので、できるだけその時の用途を考えた上でその場合に適した導入方法を選択することも大切です。
キュービクルのリースの価格相場はどのくらい?
それでは、キュービクルを実際に購入する場合とリースで導入する場合とではどれくらいの差額が出てくるのでしょうか。ここではリースの相場と、購入とリースの場合の比較を見ていきましょう。
リース価格とプランの一例
ここでは、とあるリース会社A社のリースプランと価格をご紹介します。
リースプラン例 パッケージA
このプラン内容は、キュービクル式受変電設備と高圧ケーブル、高圧気中負荷開閉器(SOG)のリースになります。期間は9年間(法定耐用年数)一月のリース料金は35,000円の108回払い(9年分)です。
含まれる費用は設置工事費、固定資産税(土地の固定資産税は除く)、動産総合保険、保安費用(オプション)保安機器等。リース満了時の撤去費用は別途必要になってきます(再契約時にはリース料に含まれる)。
また9年間のリース期間終了後、6年間の再リースが可能です。再リース料金は機器の劣化が少なければ、約1/10に抑えることができます。
更に、パッケージAプランの契約をすると、高圧気中負荷開閉器(SOG)のみリースのプランPASも利用できます。このプランは6年間と再リース4年間が可能です。
A社のリースプラン例と購入した場合の比較
A社のリースプラン例で見てみると最低9年間の利用の利用で、総額3,780,000円となります。ちなみに購入した場合においては、100kw(コンビニ小規模工場)で2,160,000円、200kw(病院、テナントビル)で3,000,000円、300kw(中規模工場、スーパーマーケット)で3,960,000円、500kw(大型テナントビル、製造工場、大型病院)6,000,000円が相場になります。
つまりこの場合では、最終的に200kwのキュービクルを購入した場合の費用を上回ることになります。更に9年間で解約する場合は別途で撤去費用も発生してきます。
もちろん購入した場合でも、購入代金の他に固定資産税、メンテナンスや部品交換などにも費用が発生してきますので、上記以上の金額がかかります。
要するに購入した場合の維持費を考えるか、リース料を支払い続けるかが大きな焦点となってくるのです。
その場面、その用途に合った方法で導入しましょう
今回はキュービクルをレンタル、リースした場合のメリットデメリットや費用を中心にお話ししてきました。
購入する場合には最低200万円以上の初期費用が必須になってきますが、この金額はキュービクルそのものの値段というよりはむしろキュービクルの「所有権」を買い取るといった考えが無難かもしれません。
何故ならば、キュービクルは使用すれば消費もします。劣化することもあります。場合によっては修理、交換も必要になってきます。そのような場合に発生する費用などの負担も所有者の責任となってくる訳です。
その点リースは所有権がない分、責任がないかと言えばそうではありません。リースには「借りものを取り扱っている」という責任があります。そして所有権がない限りは電気料とは別に使用量を支払い続けることが義務付けられます。
つまりどちらがお得かということは一概には言えないのです。それを決めるのは最終的には使用者の判断となってきます。
ですから、その場合と用途に応じて適切な方法で導入することこそが最も電気を有効に使用する近道となるのです。