今回は、キュービクル工事前に知っておきたい3つの基礎知識と注意点について詳しく解説していきます。この記事を読むと、キュービクルの基礎知識と注意すべきポイントがわかります。キュービクル設置工事をご検討の方は、ぜひ参考にしてください。
キュービクルの基礎知識
キュービクルの基礎知識を解説します。
役割や仕組みと聞くと難しく感じるかもしれません。しかし、どちらも重要な知識なので、大枠を理解しておきましょう。
キュービクルとは
キュービクルとは、電気(電圧)を降圧する受電設備のことです。
発電所から変電所を通して送られてくる電気は非常に高圧なので、そのまま使用することはできません。送られてくる電気を使用するには100ボルトや200ボルトに降圧する必要があるのです。この降圧するための受電設備の1つがキュービクルで、商業施設や店舗、工場、オフィスビルなど、電力を多く使用する施設に設置されています。
基本的には、建物裏や屋上や駐車場に設置されているため、その存在を意識することは少ないかもしれません。しかし、高圧受電契約の際には必要不可欠な存在です。キュービクルは使用する電気の量によって大きさも様々です。
なお、一般家庭や小規模事業所などの場合は、低圧受電契約が基本となります。低圧受電契約の場合、電力会社が管理している変圧器によって100ボルトと200ボルトに変圧されるため、キュービクルなどの受電設備を設置する必要はありません。
キュービクルの役割
キュービクルの代表的な役割は、送られてくる高圧の電気を100ボルトや200ボルトに変圧することです。しかし、キュービクルの役割はこれだけではありません。キュービクルには保護動作の役割もあります。
保護動作と聞くと難しく感じるかもしれませんが、簡単にいえば建物内で漏電やショートといった電気トラブルが発生したときに電気の流れを遮断することになります。電気の流れを遮断することで、近隣施設や他の設備への影響を防げるのです。
電気トラブルの拡大を防ぐことも、キュービクルの大切な役割です。
キュービクルの仕組み
キュービクルは、複数の機器が集まった総称です。キュービクルには「受電」「変電」「配電」という3つの役目があるため、それぞれの役割を果たす機器が必要になります。キュービクルの中でも特に重要な機器には次のものがあります。
- 計器用変圧器:計器用変圧器はトランスの一種で、交流高電圧の測定に用いられる機器です。
- 高圧真空遮断器(VCB)・高圧交流負荷開閉器(LBS):
キュービクル受電時の一番初めの開閉器になり、変圧器容量300KVAを基準に
以上の場合はVCBで以下の場合はLBSとなります。
- 過電流継電器:電気が短絡した場合や使い過ぎの状態を検出し、高圧真空遮断器等へ「切る」信号を送るもの。
- 変圧器(トランス):トランスとは電圧を変えるための機器です。
- 電圧計、電流計:受電する電気や配電する電気の数値を計測する機器です。この数値が通常と違う場合は故障や漏電の可能性があります。
- 直列リアクトル:コンデンサに直列に接続され、電力系統に存在する高調波の抑制や電力用コンデンサの開閉により、過渡的に発生する過大な電流・電圧などの特異現象による弊害を防止する機器です。
- 高圧進相コンデンサ:電力のロスを軽減する機器です。高圧電力を変電する過程では、電気のロスが生じてしまいます。このロスを軽減するのが高圧進相コンデンサの役割です。
- 低圧開閉器ブレーカー:低圧側の電気の短絡や使い過ぎにより電気を「切る」役目をするもの。
これらがキュービクルの中でも特に重要な機器です。ただし、キュービクルには上記以外にも多くの機器が組み込まれており、それぞれに役目があります。すべてを理解する必要はありませんが、大枠は把握しておきましょう。
キュービクル設置工事にかかる3つの費用
費用対効果を計算するためにも、まずは費用を把握しなければなりません。ここでは、キュービクル設置工事にかかる3つの費用について解説します。
- キュービクル本体費用
- 取り付け工事費用
- メンテナンス費用
キュービクル本体費用
キュービクル設置工事費用の中でも、大きな割合を占めるのが本体費用です。ただし、キュービクルの種類は大型、標準、小型の3つに分かれているので、設置するサイズの相場を把握しなければなりません。それぞれの本体費用の一般的な相場は次のとおりです。
大型
製造工場や病院など大量の電気を使用する場合は、大型のキュービクルが必要です。なお、大型の本体費用相場は800万円以上です。ただし、大型キュービクルは個別に生産するケースが多いので、相場はあくまで目安として覚えておきましょう。
標準
中小規模の工場や施設やオフィスビルやスーパーなどに設置されるのが標準キュービクルです。本体費用の相場は300万円から800万円程度になります。サイズは、高さ2,400mm、幅2,400~4,000mm、奥行1,900~2,200mm程度で、小型キュービクル2台分以上程度の大きさです。
導入後に、使用電力が増加すると新たにキュービクルを追加しなければならなくなるケースがあるので、その点も考慮しておきましょう。
小型
小規模施設やコンビニに設置されるのが小型キュービクルです。サイズは高さ1,700~2,400mm、幅900~1,800mm、奥行800~1,100mm程度になります。導入コストが最も安く、設置面積も小さいのが特徴です。
取り付け工事費用
キュービクルの取り付け工事費用は、設置場所の構造や立地によって変わるので目安となる相場は存在しません。そのため、工事費用を把握するには業者から見積もりをもらう必要があります。
この際、大切になるのが業者選びです。業者選びで失敗しないためにも、見積もりは複数の業者に依頼しましょう。
メンテナンス費用(保安点検含む)
キュービクルはメンテナンスが必要です。そのため、メンテナンス費用も考慮しておかなければなりません。ただし、メンテナンス費用は内容により大きく変わり、保安管理は業者により異なります。
そのため、メンテナンス費用についても見積もり段階で相談しておくことが大切です。また保安管理業務費用は目安となる相場は月額10万円~20万円程度です。
キュービクル工事における注意点
キュービクル工事の前には、確認しておかなければならない注意点があります。それが、設置場所と設置環境です。どちらも、安全性や費用に大きく関わってきます。
設置場所の確認
工事費用のところでも解説したように、キュービクルは設置場所によって工事費用が変わります。そのため、設置場所は非常に重要です。敷地面積が広い場合は設置場所に困ることがないかもしれませんが、限られた場所に設置する場合は広さを確認しておく必要もあります。
また、キュービクルを設置する場合は、地面の基礎工事が必要になることも忘れてはなりません。基礎工事は、地盤の弱さや地面の状況によって費用や工事期間が変わるため、その点も考慮しながら設置場所を決めましょう。
不安な場合は、業者に相談して決めることも検討してください。
設置環境の確認
キュービクルの設置工事では、周辺環境も重要になります。中でも、気温や気候、海までの距離などは重要です。
寒暖の激しい場所や降雪量が多い地域では屋根やヒーターを追加設置しなければいけないケースもあります。そのため、環境によって費用が膨らむ可能性も考慮しておかなければなりません。
海までの距離が近い場合はサビによる故障や劣化が激しくなるため、塩害対策についても考えておく必要があります。
まとめ
キュービクルの基礎知識とキュービクル設置工事で得られるメリット、キュービクル設置工事にかかる費用と注意点について解説しました。
中には、設置工事を前向きに検討されている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、設置工事には費用がかかるため、費用対効果を慎重に見極める必要があります。このとき大切になるのが工事費用です。
キュービクル本体価格は、選択するサイズによって大きく異なるため、まずは適切なサイズを把握しなければなりません。ただし、この判断は専門家に相談して決める必要があります。
適切なサイズや正確な費用を把握するためにも、まずは信頼できる業者を探して相談してみましょう。中には、相談する業者選びに悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合は、積み上げてきた実績で業者を選ぶのも一つの方法です。
小川電機株式会社は創業60年以上の歴史を誇り、これまでに多くの実績を積み上げています。電気施工管理技士や電気工事士などの資格を持つ社員が多く在籍しているうえに、キュービクルに関しては国内でトップクラスの知見を持っています。相談する業者に迷っている場合は、まずは小川電機様にお気軽にご相談ください。