キュービクルは大規模な工場やビル・テナント施設から小規模な店舗など幅広く使われており、キュービクルを設置することで多くのメリットがあります。施設の用途の電圧に合わせて調整する役割を持っており、今やキュービクルの設置は必要不可欠といっても過言ではないほど重要な役割を担っています。
しかし、キュービクルを設置するには決まりがあり 、その基準を満たさないと設置ができないようになっています。今回は、そもそもキュービクルとはどういったものなのか、キュービクルに関する基礎知識やキュービクルを設置するための決まり事などを解説します。
キュービクルの設置を検討されている方は、この記事を読むことでキュービクルの設置に関する基礎知識をつけることができるでしょう。
キュービクル(高圧受電設備)とは
キュービクルとは、発電所から変電所を経由して送電される6,600ボルトの電気を、100ボルトまたは200ボルトに変圧する箱型の設備のことです。 キュービクルという名称は、その箱型の形状であるキュービック体に由来します。なお、正式名称は「キュービクル式高圧受電設備」といいます。キュービクルのニーズは、商業施設や店舗あるいは工場やオフィスビルといった、大量の電力を使用する事業所関係が中心です。 かつてこのような変圧設備は、事業所内の電気室や変電室と呼ばれる部屋に設置されていました。しかし、施工費用の削減・縮小、さらに安全性の確保を図るために開発されたのが、変圧に必要な機能を一つに集約したキュービクルです。 地上建物裏や屋上や駐車場の隅のような目立たない場所に設置場所があるため、普段はあまり人の目に触れることはないかもしれません。目に触れていたとしても地味な存在であるため、意識されないことがほとんどでしょう。キュービクルの種類
キュービクルは、大きさによって主に3つの種類に分けられています。ここでは、その種類別に解説します。- 大型キュービクル
- 標準キュービクル
- 小型キュービクル
大型キュービクル
大型キュービクルは、主にショッピングモールや工場など大規模の施設に設置されます。施設の規模によってキュービクルの大きさは異なり、使用目的によって特注生産されることが一般的です。 工場などの特に多くの電気量を使用する施設では変電所ほど、大きなキュービクルを必要とします。それによって「大きさ」「値段」が変動し、1基で2,000万円以上するキュービクルもあります。標準キュービクル
標準キュービクルは、大型キュービクルほどの電気量を必要としない工場やビルやスーパーなどの商業施設に使用されることが多いです。大型キュービクルほどの電気量は使わないけれども、それなりに多くの電気を使用する施設や設備に使用されます。 1基で小型キュービクル2基分の大きさくらいの物が多く、使用量に応じてキュービクルを特注生産されます。 標準キュービクル1基で700万円ほどするキュービクルもあります。高さ2400mm、幅1600〜3200mm、奥行1000〜1900mmのものが多く、メーカーや使用量によって変動があります。小型キュービクル
小型キュービクルは、小規模の施設や店舗に使用されることが多くなっています。コンビニなどの店舗では、一般家庭の家電より高い電圧の冷蔵庫や冷凍庫を使用するため、小型キュービクルが必要になります。 発電所から送られてくる高圧電気を小型キュービクルによって店舗や工場で使える電圧まで下げて使用するために小型キュービクルの設置が必要になります。 小型キュービクル1基で250万円ほどするものが多いです。高さ2400mm、幅1600mm、奥行900mmが標準の大きさで、電力消費量は50kW~150kWぐらいです。キュービクルを設置する目的・役割
キュービクルは、発電所から送られてくる6,600Vの「高圧電気」を受け取り、施設や工場で使用するために100Vや200Vまで電圧を下げるための設備です。似たようなもので電柱の上などについている変圧器があります。変圧器で100V・200Vに降圧された電気は一般住宅や小規模の店舗などで使用されます。 ではなぜ、商業施設や店舗、工場、オフィスビルなどではキュービクルが使用されるのでしょうか?その理由は、商業施設や店舗、工場、オフィスビルなどでは電気使用量が50KW以上になるケースが有り、その場合は法律で高圧受電契約にする様に決められています。高圧受電を行うことで維持管理費用は必要となりますが、電力料金が低圧契約より安価と設定されています。 電圧が低い状態で電気を送る場合、太い電線が必要になります。その際、発熱が生じ、電力損失を伴います。そのため、高圧でキュービクルまで送電し、キュービクル内で100V・200Vに降圧する方が、効率が良くなります。つまり、低圧電力より高圧電力の方が、電気料金が安くなります。 また、キュービクル内には遮断器や保護継電器といった緊急時に電気の回路を遮断するための安全装置が入っており、電気設備を保護する役割もあります。それらの機器を外部の環境から守るためにキュービクルを用いることで、塵や水、激しい温度変化などから内部機器を守るためにキュービクルを設置します。 キュービクルを設置することで、安全にかつ効率良く電気を使用することができるようになるのです。キュービクルの設置基準
キュービクルを設置するには、満たすべき基準があります。どこにでも置けるわけではなく、設置するための決まり事が定められています。ここでは、キュービクルの設置基準について解説します。キュービクルの基礎知識
キュービクルは、契約電力が50kW以上の施設に設置することが法律により義務付けられています。設置が必要な場所に設置されていない場合、法令違反により罰則が与えられます。設置後に関しては、定期的な保守点検が義務付けられています。設置場所
キュービクル設置時には、「火災予防条例」により周りの建物から3m以上の離隔をとる必要があります(条件により軽減措置は有ります)。他にも、キュービクルの保守点検を行うために、十分な空間を開ける必要もあります。 周りの建物から十分な空間を開けることができない場合は、「日本電気協会」が定めたキュービクルを使用しなくてはいけません。 また、一般的にコンクリート基礎の上にキュービクルを据え付けますが、重量制限のある場所に関してはH鋼を使用して据え付ける場合もあります。設置環境
キュービクルは屋外に設置することが多く、自然環境や周囲の環境に応じた対策をとる必要があります。 特に「沿岸部」などでは、塩害などがあり塩分を含む風により外箱が錆びる危険があるため、対塩害仕様のものにするか屋内に設置する必要があります。沿岸部から300m以内の場所などは、除塩フィルターをつけるか塗装を厚くするなどの対策が必要です。 他にも、屋内に設置をすると雷や気温の変化による結露などが発生する危険があります。結露が発生する恐れがある場所では、換気設備や断熱材などの対策を行わなくてはなりません。雷の対策としては、避雷針を設置するなど環境に応じた安全対策が重要になります。 法律により、設置基準や設置後の点検の実施が定められています。そのため、キュービクルを管理するための準備を事前に整えておきましょう。キュービクルを設置する際の施工内容と手順
ここでは、キュービクル設置の見積もり依頼後から設置完了までの流れについて、当社小川電機にご依頼いただいた場合を例に解説します。- 見積申込
- 打ち合わせ(1回目)&現場調査
- 見積提出
- 打ち合わせ(2回目)
- 施工開始
- 設置完了